社会基盤を支えるインフラ構造物・設備の機能や性能を維持し安全に利用するためには、定期的な状態把握と維持管理が必要だ。
しかしながら、国内においてはその多くが建設から長い年月を経て老朽化が著しく進み、安全を維持するため、数年に一度の定期モニタリングや常時モニタリングなど、対象物の状況に応じたモニタリングが必要となっている。
今後建設されるものも含め、年々増加する設備や構造物を継続的に管理し、激甚災害への対応なども念頭に安全性を確保するためには、IoTを活用した維持管理の効率化が急務とされている。
さらに、政府の成長戦略の一つとして、大量に取得されるメンテナンスデータを用いたデータ活用型の「インフラメンテナンス2.0(※1)」が提唱されるなど、維持管理のさらなる高度化に向けた取り組みも加速している。
沖電気工業株式会社(以下、OKI)は、社会インフラシステム、情報通信システムの領域で開発してきたセンシング技術やAIなどのIoT活用技術により、老朽化対策のための費用増大が予測されるインフラ構造物・設備の維持管理において、運用の異なる現場に合わせたコーディネイトを段階的かつ効率的に実現する「インフラモニタリングソリューション」を提唱した。
OKIが提唱する「インフラモニタリングソリューション」は、「インフラの見える化」「インフラの状態診断」「インフラの劣化予測」「インフラ工事の工程・安全監視」の4つのソリューションから構成され、これらをお客様の運用に合わせて連携させ、効果的に導入することができるとしている。
また、維持管理のさまざまな場面に応じた最適な商品・サービスを取り揃えており、段階的な業務効率化・高度化を実現する。
「インフラモニタリングソリューション」を構成する4つのソリューションの概要は以下のとおりだ。
- インフラの見える化
- インフラの状態診断
- インフラの劣化予測
- インフラ工事の工程・安全監視
インフラ構造物・設備の現場状況を可視化。これまで収集が困難だった対象物の変状(※2)データを、画像処理や音響処理、光通信技術、ロボット技術の活用により取得する。また、帳票をデータ化し、データ収集から記録・レポーティングまで一連の作業を効率化するソリューション。
現場での収集情報から、インフラ構造物・設備の劣化状態を診断。職人の感覚・経験で行われてきた劣化状態の診断を、収集情報の解析により診断基準を数値化するとともに、機械学習によって判断を支援するソリューション。
インフラ構造物・設備の劣化予測を行うソリューション。収集データおよび診断結果を基に、AIや機械学習を用いて把握した変状の傾向からその進行を推測し、劣化を予測する。
インフラ構造物・設備の工事現場における工程の可視化と安全状況の診断を行うソリューション。これまで現場監督が視認で把握していた作業状況を、画像処理や無線通信技術、光通信技術、AI技術を活用して見える化し、作業の安全に関する判断を支援する。
OKIは今後「インフラモニタリングソリューション」について、顧客との共創によるPoCに取り組んでいく。
※1 インフラメンテナンス2.0:インフラメンテナンスにおける新技術の活用により得られる膨大な計測・点検・補修などのデータの利活用環境を整備し、AIなどを活用して、大量のデータ分析やこれらを活用したメンテナンスのさらなる効率化、高度化を図る取り組み。
※2 変状:普通とは異なった状態のこと。
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