ビール醸造のプロセスの中で、貯蔵・濾過・保管の工程における「濾過計画業務」は、熟練者の知見に頼る複雑な作業であり、様々な条件を勘案しながら立案するため、作業に時間がかかると同時に技術伝承が難しい業務の一つである。
そこでキリンビール株式会社は、ビール類を製造する醸造工程において、AIを活用して最適な濾過計画を自動で立案するシステムを、株式会社NTTデータと共同で開発し、段階的な試験導入を経て、2020年12月よりキリンビール全9工場で本格展開および効果測定を開始した。
そして約半年のシステム展開を経て、熟練者が1回につき最大6.5時間程度かけていた「濾過計画業務」を最短で55分まで短縮し、キリンビール全9工場で年間3,000時間以上の時間創出を実現できることが確認された。
システム開発には、各工場の熟練者にヒアリングを行い、「設備」や「製造体制」による制約条件を踏まえた上で、制約プログラミング技術を活用することで標準化した。
また、今回の導入結果を踏まえ、濾過計画の前工程である「仕込」・「酵母計画」へのシステムの横展開を進めており、将来的には醸造計画業務全体の自動化を目指しているという。
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