ソフトバンク株式会社と日本マイクロソフト株式会社は、生成AIを活用してコールセンタ業務の自動化を進める共同開発を開始する。
ソフトバンクのコールセンタでは1万以上の業務が存在しており、これらの業務を効率化するべく、日本マイクロソフトの「Azure OpenAI Service」を活用し、生成AIを活用したコールセンタの構築を目指す。
具体的には、問い合わせ内容に対する案内や契約内容の照会、契約変更手続きなどの業務を中心に、生成AIを活用していく予定だ。LLM(Large Language Models:大規模言語モデル)が問い合わせ内容を判断して案内を行ったり、データソースから情報を収集したりして、最適な回答を行ったりといったことが想定されている。
活用されるLLMは、インテント(検索意図)分類し、決められた順序と固定化されたスクリプトで対応する従来のフロー追従型ではなく、顧客との会話内容に応じてLLMが必要な機能やデータソースを参照するLLM自律思考型のシステムを開発するとしている。
さらに、対応精度の高度化に向けて、ソフトバンクが提供するさまざまなサービス内容やオペレータの対応パターンなどの大量の情報を基にプロンプティングを行う他、「Azure AI Search」を活用して外部のソースから取得した情報を組み合わせてLLMの回答精度を向上させる技術「RAG」での連携を行い、社内で保有するデータベースを参照することで、最適な回答を導き出す。
なおソフトバンクは、2024年7月以降、ソフトバンクの自社のコールセンターに順次導入し、既存業務の自動化を拡大していく予定だ。また、効果検証の結果を踏まえ、ソリューション化および法人顧客向けの提供も検討していくとしている。
日本マイクロソフトの執行役員 常務 エンタープライズ事業本部長 兼 グローバル通信 IT サービス事業本部長の渡辺 宣彦氏は、「ソフトバンクの優れた技術力とマイクロソフトのAzure OpenAI Service(生成AI)を中心としたインテリジェントプラットフォームにより『LLM自律思考型のシステム』を実装し、膨大な業務の最適化を図ることで、コールセンターの生産性を飛躍的に向上させることを目指す。この取り組みをAI社会実装の重要な一歩として位置づけ、強固なパートナーシップの下、両社が蓄積した強みとノウハウを生かし、日本におけるAIトランスフォーメーション実現に貢献していく」と述べている。
また、ソフトバンクの代表取締役 社長執行役員 兼 CEOの宮川 潤一氏は、「ソフトバンクは、これまでも革新的なテクノロジーを積極的かつ徹底的に活用することで、お客さまに新たな価値を提供してきた。携帯電話や固定電話、インターネットサービスなど、ソフトバンクのあらゆるお客さまの対応を行うコールセンターは、サービスの最前線を担う重要な柱だ。これまで強固なパートナーシップを築いてきた日本マイクロソフトと共に、先端テクノロジーを活用して利便性向上に取り組むことで、さらなる顧客満足度とサービス価値の向上に努めていく」とコメントしている。
無料メルマガ会員に登録しませんか?
IoTに関する様々な情報を取材し、皆様にお届けいたします。