NTT、大規模データ間の類似度や対応関係を高速に算出する技術を開発

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日本電信電話株式会社(以下、NTT)は、トップ選手の動作を視覚認知することで競技者の運動学習を支援したり、微小な動きを視覚認知することで研修医の高度な手術を支援したりといった、ICTによる能力拡張を目指している。

また、選手や演者の動作意図を誇張表現によって明確に伝え、高い臨場感を生み出す体験の創出を目指しており、これらを実現するために、本質的な変化や違いだけを捉え、誇張表現を介して明確に視覚化する視覚認知向上システムの構築に取り組んでいる。

そのためには、データ間の変化や違いを高精度に検出するための基礎技術が必要であり、その一つとして、最適輸送問題が注目されている。しかし、問題を解くためには多くの計算時間が必要であるという課題があった。

こうした中NTTは、データ間の類似度や対応関係を求める最適輸送問題に対し、実世界のデータに潜む巡回対称性を利用することで、完全に同等な解を高速に求める新しいアルゴリズムを提案し、その効果を理論的にも実験的にも示したと発表した。

この新しいアルゴリズムは、入力データの巡回対称性と様々な最適化技術を使って、最適輸送問題を非常に少数の変数で構成された別の最適化問題に帰着させ、それを元の最適輸送問題の代わりに解くことで、計算コストを削減している。

従来のアルゴリズムでは最適輸送問題を直接解くが、今回提案したアルゴリズムでは最適輸送問題を別の小さな最適化問題に帰着し、それを代わりに解き、元の最適輸送問題の解を復元する。

提案手法の概要

問題の帰着および解の復元という2つの処理が新たに必要となるが、それを加味したとしても、提案アルゴリズムが高速に解を求めることが可能なことを理論的かつ実験的に検証している。なお、一番効果が高い実験結果を下図として例に記載している。

50次の巡回対称性を持つ1000次元のデータ間の最適輸送問題を解いた時の実験結果

これにより、熟練者と初心者間での身体動作の比較、定量化、そして可視化を通じて、人々の視覚認知能力の向上や伝承を支援する研究開発を推進し、スポーツなど多様な分野での人々の能力拡張とその発揮に向けたサービス基盤の実現を目指す。

今後は、この成果を活用した熟練者と初心者間での身体動作の比較、定量化、そして可視化を通じた視覚認知能力の向上や伝承を支援する研究開発を推進し、多様な人々の能力拡張とその発揮に向けたサービス基盤を構築する計画だ。

なおこの成果は、2024年2月20日から27日にかけてカナダのバンクーバーで開催されたAI分野の国際会議「The 38th Annual AAAI Conference on Artificial Intelligence」で発表されている。

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