日本電信電話株式会社(以下、NTT)は、IOWN オールフォトニクス・ネットワーク(All-Photonics Network:以下、APN)による通信の特徴である大容量・低遅延を活かし、複数のデータセンタ(以下、DC)に分散配置された計算処理環境においても、秘密計算によるAI分析を実用的な時間で達成できることを実証した。
この成果により、遠隔地にあるDCに配置された秘密計算サーバをIOWN APNで接続し、安全にデータ活用できるプラットフォームの実現が期待されている。
今回の実証実験では、NTT西日本が構築したIOWN APNによる分散DCに、分散配置されたサーバによる秘密計算システムを構築した。
また、計算処理を行う際のネットワークの影響について評価するため、IOWN APNで接続している場合の構成、一般的なネットワーク接続を模擬した構成および単一のDC内の構成にて、計算処理性能をそれぞれ測定して比較した。
測定の結果、10万件のダミーデータセットを学習対象としたAIモデルの学習処理において、一般的なネットワーク接続が約157分かかるのに対して、IOWN APNの場合は約22分と、約1/7の時間で学習が完了することが確認された。
同一DC内で実施した場合のネットワーク接続は約15分の時間を要するが、地理分散した場合でも、同一DC内と比較しておよそ1.5倍程度の時間となり、実用的な時間で処理可能であることが確認された。
この結果から、今後IOWN APNを用いることで、分散DC間の秘密計算システムが実現可能であることが示された。そのため、「安全・安心な複数事業者でのデータ利活用」や、「地域DCを統合した計算リソース活用」など、IOWN技術を応用した価値創造に向けたユースケース検証と、実導入に向けた運用課題の解決に取り組む予定だ。
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