情報公開法により、国民は行政機関に対し保有する行政文書の開示請求を行うことが可能だが、開示される文書には個人情報や機密情報が含まれることが多い。これらの情報は墨消し(黒塗り)される必要があり、個人情報保護法でも個人を特定できる情報の保護を義務付けている。情報公開法に基づく文書開示の際には、プライバシー保護の観点からも墨消しが求められる。
さらに、各省庁や地方自治体は、情報公開や個人情報保護に関する独自のガイドラインを作成しており、特定秘密保護法のような法令も存在する。これらのガイドラインや法令に従うためには、正確かつ効率的な墨消し作業が不可欠だが、手作業での墨消しは時間と労力がかかり、人的ミスのリスクも伴う。
こうした中、株式会社インサイトテクノロジーは、同社が提供するデータマスキング製品「Insight Masking」において、AIによる墨消し機能や、PDF文書の墨消しに対応した新Editionの提供を開始した。
「Insight Masking」は、データの保護と利活用を目的としたマスキングツールだ。データに含まれる個人情報等の機密情報を自動抽出し、マスキングアルゴリズムで個人情報の匿名化や、機密情報の秘匿化を実行できる。
また、大規模言語モデルによるフリーテキストマスキング技術を搭載しており、メール本文、チャットのテキスト、CRMなどの対応履歴・メモ欄といった、テキストデータ内の個人情報や機微情報を匿名化・秘匿化し、保護することが可能だ。
今回発表された新Editionでは、新たに個人情報・機密情報の自動検出が追加された。同社のAIエンジン「Insight Asir」を用いた解析及びルールベースに基づき、個人情報やユーザ定義による機密情報を自動的に検出する。
なお、検出された個人情報・機密情報は、墨消し候補として表示され、これらを実際にマスキング対象とするか対象外とするかは、ユーザが選択することができるほか、AIで検知しきれない単語に対しては、管理者側で検知設定を辞書登録や正規表現などによって、自動検知対象に追加することが可能だ。
また、新たに「Word」「Excel」「PowerPoint」などのOffice製品のほか、PDF文書の墨消しにも対応した。
作業の進行状況はPDF形式で保存でき、再開時に保存されたファイルを読み込むことで、中断した時点から作業を開始することができる。
その他にも、メモ機能や文字置換えでマスキング、墨消し候補の単語リスト出力が新たに追加された。
なお、新Editionの提供に伴い、2024年7月16日にリリースされた「Insight Masking SaaS Edition」は、名称を「Insight Masking」SaaSプランへ変更された。また、新Editionは、仮想アプライアンスプランとSaaSプランの両方で提供されるとのことだ。
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