さきほどの砂金氏の講演でもあったように、AIといってもそれぞれ強みがある。NECのAI技術の主な特長は、「生態認証」だ。生体認証技術の重要性について中尾氏は、次のように語った。
「私たちのいる実世界に対し、デジタルは便利な反面、リスクを含む世界だ。そんな世界で安心してデジタルを活用するための”入口”が生体認証だ」(中尾氏)
たとえば米国ロサンゼルス郡保安局の犯罪捜査システムに、NECの顔・虹彩・指紋・掌紋からなる「マルチモーダル認証」を提供。導入後、7日後に”迷宮入り”していた事件の解決につながったという。
「AIの期待は高まっているが、使いこなせているお客様は少ない」(中尾氏)。「日経ビッグデータ人工知能関連調査」(2015年11月~12月)によると、経営者の88%がAIに期待しているものの、十分に対応できているのは4%だという。
企業がAIを活用し、変革を起こすためには、プラットフォームを利用するだけではなく、組織におけるプロジェクトの進め方が肝心だと中尾氏は指摘。”考えて・試して・運用する”といった「仮説検証+改善/誘発」のプロセスが重要であるとした(「アジャイル」や「リーン」といった概念も同様の意味だという)。
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技術・科学系ライター。修士(応用化学)。石油メーカー勤務を経て、2017年よりライターとして活動。科学雑誌などにも寄稿している。