ドイツ、ベルリンで行われているIFA2018のレポート第5弾は、スタートアップが並ぶ、IFA NEXTからだ。
すでに、幾つかのプロダクトを紹介しているが、それ以外のもので興味を引いたものを紹介する。
電気の通っていないエリアに電気の恩恵を Solar Cow Project
世界で電気の通っていないエリアは多い。といって簡単に電気がひけるわけでもない。
これまでは何時間もかけてチャージングショップに通っていたというのだ。
そこで、この牛型のソーラー発電機を使って充電をする。充電された電池は、牛の乳のイメージで電池がたまる仕組みになっているのだという。
そして、ミルクとしてスマートフォンなどに電気を供給、リコッタチーズは照明に、チーズはラジオやスピーカーになるのだという。
後付けコネクテッド・カーグッズ Chris
Chrisは、車のフロントガラスに取り付けることで、スマートフォンから必要な機能を抜き出して簡単に利用できるものだ。
ボイスアシスタント、ジェスチャーコントロール、メッセージ、電話、音楽、ナビゲーションとわりとわかりやすい機能が使えるようになっている。
ただ、オフラインでも利用可能ということなので、いわゆるスマホの接続と通信が必須というわけではないということは嬉しい。
お天気情報が取れる ATMO
このデバイスは、持っているだけで温度や湿度などその場の気候情報を取得して、スマートフォンに通知することができる。
さらに、この情報を利用者全体でマッシュアップすることで、地図上でユーザがアップロードした気候情報がマッシュアップされるというものだ。
使い方は、このデバイスのボタンを押すだけという簡単操作で、CO2濃度やPM2.5濃度、温湿度なども測定する。
一体型MixRealityグラス MADGAZE
MADGAZEは、MRグラスだが、メガネの柄の部分にはコントローラーが付いている。
例えば、下のようなキャラクターのARマーカーを見ると、メガネの中にはフィールドと敵が攻め込んでくるというゲームが現れるのだが、敵を目で見て柄の部分をタップすると敵を攻撃できるというデモンストレーションだった。
視線追跡機能も付いているということなので、機能としては高性能だとも言える。
まだ荒削りではあるが、もう少し洗練されてくると他の要素にも使えそうだ。
LINEを通してモノとのやり取りを実現する LINE Things
LINEもメッセンジャーを通してモノとのやり取りが可能となるLINE Thingsを展示していた。
デモは、タブレットPC上で仮想的に作られたコーヒーメーカーを動かすというものだったが、ぜひ実際のデバイスを動かせるところを見たいところだ。
様々なデバイスを遠隔操作する上では、専用コントローラーをダウンロードする流れから、チャットや音声応答エンジンなど人との自然ややり取りの中でモノも制御されるという流れが一つの流れとしてある。
将来的には、「コーヒーを入れて欲しい」という単純な「操作」ではなく、エージェントに「喉が渇いたな」というと、コーヒーを入れるのか、ジュースを出すのか、聞いてくれて、その時の気持ちに応じたサービスを行ってくれるようになるのかもしれない。
IFA NEXTもAlexa一色から脱却
昨年のIFA NEXTはAlexaブースがとても広く、対応製品がたくさん展示されていたが、今回はそうでもなかった。
この手のスタートアップブースが、多くの世界的な展示会で面積をとるようになって、いろんな人の目に触れる機会が増えたのは喜ばしいことと言える一方で、数年前CESのエウレカエリアでみた驚きは今はなく、わりと近視感のあるプロダクトが増えてきていることは否めない。
荒削りでもよいので、生活者の課題を意識した、一捻りある、面白い発想のプロダクトが出てくることが期待されている。
IFA2018レポート
第一回:家電のイノベーションは起きるか
第二回:見えないところで起きている、家電の「Co-innovation」
第三回:ロボティクスとAIを活用したプロダクト
第四回:踊り場にきた、ウエアラブル関連プロダクト
第五回:IFA NEXTでみたスタートアップ製品
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IoTNEWS代表
1973年生まれ。株式会社アールジーン代表取締役。
フジテレビ Live News α コメンテーター。J-WAVE TOKYO MORNING RADIO 記事解説。など。
大阪大学でニューロコンピューティングを学び、アクセンチュアなどのグローバルコンサルティングファームより現職。
著書に、「2時間でわかる図解IoTビジネス入門(あさ出版)」「顧客ともっとつながる(日経BP)」、YouTubeチャンネルに「小泉耕二の未来大学」がある。