これまで、AIによる異常予兆検知は、過去に経験したトラブル時の異常データを学習させることで同様のトラブルの予兆を検知することが一般的だった。
大阪ガス株式会社と株式会社宇部情報システム(以下、UIS)は、AIにより過去に経験がない異常予兆を早期に検知するシステムを開発した。
同システムは、リアルタイムの製造運転データの状態・傾向を監視し、異常予兆を検知すると通知するもので、従来の上下限アラート(※1)では検知が難しかったいつもと違う動き(異常予兆)を早期に検知できるようになり、装置の緊急停止などによる損失を未然に回避できる。また、異常予兆を監視することで、従来の事後保全(※2)や時間基準保全(※3)から計画的な状態基準保全(※4)へ移行でき、保全業務の効率化や保全費用の削減に繋がる。
また、トラブル時の異常データが十分に得られないという課題の解決にもつながる。さらには、装置のオーバーホール(※5)や経年によるAIモデルの精度低下を防止するため、従来はシステムエンジニアが最新のデータでAIモデルを再学習する必要があったが、同システムでは企業自らが再学習できるようになり、コスト削減と迅速なシステム更新を実現する。
※1 上下限アラート:データが予め設定した上下限の管理値を逸脱した際に、自動発信する仕組み
※2 事後保全:機械や装置の故障や不具合が生じてから行う保全
※3 時間基準保全:不具合が生じる前に計画的に行う方法で、一定期間経った部品を交換する保全
※4 状態基準保全:不具合が生じる前に計画的に行う方法で、劣化の進み具合に応じて交換する保全
※5 オーバーホール:装置を部品単位まで分解して清掃・再組み立てを行い、新品時の性能状態に戻す作業
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