SORACOM Discovery 2016 〜IoTの最先端を探しに〜 基調講演レポート

IoTプラットフォームの注目企業ソラコム社が行った、SORACOM Discovery 2016。

これまでも「グローバル対応」「新サービス、SORACOM Door, SORACOM Gate」「LoRaWANへの取り組み」に関して掲載してきたが、最終回は基調講演の模様をお伝えする。

2016年1月にSORACOM Connectedというイベントが終わる締めの挨拶上、「夏にもやります」という玉川氏の発言を受けて驚いた。なぜなら、その時点で半年後の展開が見えていない限り、そんな宣言は難しいからだ。

しかし、実際7月に開かれた、SORACOM Discoveryは、ソラコム社の考えたアプローチが着々と実行されていることを証明する結果となった。しかも、日本国内におけるIoTの盛り上がりとしても、「IoTはグローバルで考えるべき」「誰とどう組むかが重要」という言葉が市場にもでてきているこのタイミングにだ。

ソラコム 代表取締役社長の玉川氏によると、すでに3,000以上の企業がSORACOMを利用しているという。

ソラコム 代表取締役社長 玉川憲氏

先日、シンガポール法人の設立や、大手通信会社colt社との提携も発表され、ますますグローバル化に向かって進むのであろうと予測される中、トヨタ自動車株式会社 e-TOYOTA部 部長 藤原靖久氏からも後押しする話題が飛び出した。

トヨタにおけるグローバルIoT

トヨタは、2002年からテレマティクスの展開を行ってきた。これまでも地図の更新やオペレータサービスを行ったりしてきたが、グローバルテレマティクスの課題としては、以下のことがあると述べた。(藤原氏)

トヨタ自動車株式会社 e-TOYOTA部 部長 藤原靖久氏

グローバルテレマティクスにおける課題

  • 国、地域で通信仕様が異なる
  • 国地域ごとにキャリア専用のSIMとなっている
  • キャリアごとの通信認証設備を作る必要があるので運用コストが高い
  • ナビ地図、緊急通報サービスなどが未整備の地域がある

ローコスト・テレマティクス

クルマメーカーとしては、新車、中古車に対して、後付けのデバイスを提供することで、どこの国でも提供できるテレマティクスサービスができるとよい。また、走行状況に応じて割引を行う、「テレマティクス保険」と連動させるビジネスモデルも考えられる。今後は、走行情報をビッグデータとして記録することでドライブのアドバイスなども可能となる、ということだ。

グローバル通信プラットフォーム

トヨタのテレマティクスサービスにおける、データ通信モジュールの「DCM(Data Communication Module)」をグローバルで共通化する際、主要国の新車にDCMを全社搭載しkDDIが調達運用を行うことはすでに発表されている。

現状は先日米Cisco社が買収し話題となったJasperやEricsson社が担当している領域だ。
※JasperやEricssonはIoTにおいて提供するサービスが、SORACOMと同じレイヤーの企業・サービス

一方で「SORACOMとは、新興国における接続を高速かつローコストに実現できる。今後、実績が詰みあがれば、JasperやEricssonの物理設備も不要になる可能性があるのではないか」とも述べた。

ビッグデータの蓄積

トヨタの車が走ることで、様々な走行情報を情報をあつめることができるので、そのデータを活用した面白いサービスができるのではないかとも述べた。

そのケースにおけるSORACOMへの期待としては、例えばLoRaWANをつかって駐車場の満空状況がわかる、といったようなことだ。

今後のトヨタの挑戦

新たなビジネスへの挑戦として、

  • 通信ドライブレコーダを活用した保険の割引
  • トヨタの保有する駐車場をあいているときにお客様に提供するサービス
  • 車の中のWiFiサービス
  • 高齢者向け運転見守り
  • 危険箇所をナビやWebに表示し、注意喚起するサービス
  • 走行距離やドライブスコアを活用したカーリースサービス

などを考えていると述べた。

日立製作所のIoT

また、株式会社日立製作所 IT統括本部 本部長 中島透氏からも日立がIoTをどう見ているかについて講演があった。

株式会社日立製作所 IT統括本部 本部長 中島透氏

注力している4事業分野としては、「電力・エネルギー」「産業・流通・水」「アーバン」「金融・公共・ヘルスケア」だという。

日立のIoTを実現するプラットフォームとして考えられた「Lumada」は、ITとOTをつなぎIoTを実現する概念だ。

日立のIoTプラットフォーム Lumada

この中でSORACOMは「接続のバス」のレイヤーで活用することができるということだ。そこで、今後はLumadaにSORACOMをつなぎこんでいこうと考えているということだ。

また、グローバル対応に関して、日立も海外売り上げ比率が50%ということで、海外向けのイノベーション創出に貢献したいと述べた。

SORACOM活用事例のアップデート

さらに、1月のDiscoveryからの活用事例についてアップデートがあった。

インフォミクス

太陽光発電の遠隔監視につかっている。

北良

在宅患者の安否確認につかっている。

十勝バス

路線バスのすべてに運行管理につかっている。

ニコン・トリンプル

施工支援に使っている。

東海クラリオン

ドライブ時に万が一事故が起きたら、動画を配信するために使っている。

楽天Edy

売店、試合の時しか通信料がかからない通信手段として使っている。

コニカミノルタ

医療機関向けタブレットの通信として使っている。

セゾン情報システム

ISDN終了にともなう、通信のリプレースをSORACOMで行う。

Japan Taxi

ドライバーの安全運転のためにドライブレコーダを設置している。

F5

BiG-IPルーターの多要素認証に利用。

東急不動産

iPad端末でのポイント付与をセキュアに実現するために利用。

IoTアンバサダープログラム

また、今回、企業におけるさらなる利用シーンの創出、啓蒙のため、5名の顧問がソラコム社に就任したということだ。

最後に、玉川氏は、「日本から、世界から、たくさんのIoTプレーヤーが生まれることを願っている」と述べ、基調講演を締めた。

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