ドイツ、ベルリンで行なわれている家電ショーIFA2017。レポートの第五弾は、Mixed Reality用のヘッドマウントディスプレイについてだ。
Mixed Realityと言われると、どういうことができるか想像できるだろうか?LenoveのMR用ヘッドマウントディスプレイ「Explorer」で解説していく。
Lenovo Explorer
まず大きな特徴としては、前面にカメラが2つ付いているということだ。細かな数学の説明は省くが、2つのカメラがついていると「奥行きの距離が測定できる」と覚えておいてほしい。
つまり、OculusのようなVR(Virtual Reality)用のヘッドマウントディスプレイと違って、カメラの前にある対象物との距離を測ることができることがポイントだ。
実際にマイクロソフトが準備した、MR体験用の家に入ってみると、下の写真のような風景が広がる。
右に首を振ると、右側がわかり、左に首を振ると左側が見える。ここまでは、VRと同じだ。
しかし、奥行きがとれるので、これをつけたまま前に歩くと、部屋の中を歩くこともできるのだ。
大抵のデモはPCと短いコードで繋がれてしまっていて、歩く体験を許してはくれないのだが、無理をいって歩かせてもらったところ、実際に部屋の中を歩くことができた。
しかし、これだけだと、部屋を歩き回るだけとなる。当然部屋の中のものを触りたくなるだろう。
そこで、登場するのがコントローラーだ。このコントローラーの輝いている部分をカメラで認識することで、コントローラーの位置も正確に把握することができる。(つまり、バーチャル空間上にあるモノとコントローラーをもった手の位置関係がわかる)
それで、手を伸ばすと棚にあるモノを触ったりすることができるのだ。
ここまでくると、コントローラーにボタンが付いる場合は、ボタンを押すとモノを掴むなどの動作に変換できることも理解できるだろう。
この、Lenovoが作ったMR用ヘッドマウントディスプレイだが、まず軽い。わずか380gという軽量ボディが実現されているのと、頭に装着した際のフィット感を左右する調節も、後頭部のネジを回すだけで可能なので手軽にぴったりと装着することができる。
ヘッドマウントディスプレイはどうしても前のディスプレイ部分が重くなって、頭を動かしているとずれてくるのでこういう機構はユーザにとってはありがたい。
さらに、ヘッドホンをつければ、かなり没入感が高まるだろう。
AWAKE YOUR INNER JEDAI
また、ExplorerではないARヘッドマウントディスプレイだが、「ジェダイチャレンジ」として、スターウォーズのライトセーバーで迎えくる敵をやっつけるというデモも行われていた。
バーチャル空間で楽しむということを理解するにはわかりやすいデモだった。実際に遊べるようで、Lenovoのホームページで更新情報を知ることもできる。
参考:Lenovo
DELL VISOR
DELLからも同様のMR用ヘッドマウントディスプレイがリリースされる。Lenovo Explorerと同様に軽く、長時間の使用にも耐えられるようにクッション部分がやわからかく作られている。
コントローラーも同じくジョイスティックなどがついている。
頭部を締めるところはダイヤル式となっていた。
OCURUS, HTC VIVE, Galaxy GEAR VR, HoloLensとの住み分けはどうなるのか
先発のOCURUSや Galaxy GEAR VR、HTC VIVE、Google DaydreamなどのVR陣営は、すでに対応コンテンツが充実していて楽しみ方も見えてきている。
一方で、MRについてはまだマイクロソフトの標準のデモ画面を利用して展示を行っているモノばかりなので、コンテンツ作りはこれからというところだろうか。
また、「移動の状況」も取得のであれば、有線ではなく無線でヘッドマウントディスプレイを利用できた方が嬉しい。その前提でコンテンツ配信ができれば前段で紹介したようなことをうまく作って、新たな体験を生み出すこともできそうだ。
IFA2017レポート:
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IoTNEWS代表
1973年生まれ。株式会社アールジーン代表取締役。
フジテレビ Live News α コメンテーター。J-WAVE TOKYO MORNING RADIO 記事解説。など。
大阪大学でニューロコンピューティングを学び、アクセンチュアなどのグローバルコンサルティングファームより現職。
著書に、「2時間でわかる図解IoTビジネス入門(あさ出版)」「顧客ともっとつながる(日経BP)」、YouTubeチャンネルに「小泉耕二の未来大学」がある。