株式会社島津製作所は、指向性と応答速度に優れた半導体レーザを採用した「光/音響ハイブリッド水中通信装置」のプロトタイプ(試作機)を開発したと発表した。
これは、防衛装備庁の2022年度の先進技術の橋渡し研究にて、同社製の水中光無線通信装置と他社製の音響通信装置を組み合わせて使用したものだ。
2023年1~2月に、刻々と変化する「深度」「濁度」「水温」など様々な条件下の水槽及び実海面での実証実験を実施した。近・中距離の大容量データ通信は光無線通信装置を使用し、外乱光や濁りの影響が強い水中や遠距離では音響通信装置に切り替えるという内容の実験だった。
水中通信は従来、ケーブルによる有線通信が主流で、一部音波による音響無線通信が利用されてきた。有線通信はリアルタイム伝送が可能だが、海流などの抵抗を受け、ROV(遠隔操作型水中ロボット)の活動が制限されるという課題があった。
また、自律型水中ロボットに搭載されている音響無線通信は通信速度が数十キロbpsが限界で、大容量データのリアルタイム伝送に難があったのだという。
これらを解決するために、国内外のメーカや研究機関は様々な水中光無線技術を開発してきたが、その多くが発光ダイオードを光源に使用していた。
そこで島津製作所製は今回、指向性と応答速度に優れた半導体レーザを水中光無線通信装置「MC100」及び「MC500」に採用した。
今後は、安全保障や海洋資源探査、洋上風力発電の設置・点検、養殖を中心とする漁業などで使える水中無線通信技術の開発を進める計画だ。また、国内外の企業・研究機関・自治体とともに同技術の社会実装に向けたオープンイノベーションを推進していくとしている。
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