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家電同士の接続が消費者にウケないワケ ーIFA2019レポート2

IFA2019

ベルリンで開催されているIFA2019レポートの第二弾は、スマートホームについてだ。

第一弾でも、単に「コネクテッド」をうたうような展示はほぼなくなってきていると報じた。それでも単に「コネクテッド」のテクノロジー的なアドバンテージを訴求し続けるブースもあった。こういった家電同士を繋いで価値を訴求する取り組み、特に、同一ブランドで家中が染まっている前提の価値訴求については、やや食傷気味になっている。

そこで、今回のIFAの展示において、消費者の視点から感じられるスマートホームの訴求効果について考察した。

必要なところだけコネクトするという考え方

シーメンスのブースにおいて、「コネクテッド」を訴求しているエリアでは、それぞれの家電がネットに接続することでできることについて、「単体の製品レベル」で訴求されていた。その上で、単体の製品レベルのネット接続を前提とした統合ツールとしてのスマートフォンアプリが提案されていた。

それぞれの家電での「コネクテッド」の訴求については、例えば以下のようなものだった。

など、テクノロジー目線での、「こういうこともできますよ」という提案ではなく、消費者目線での「こういうのあったらいいな」という無理矢理感のないものだ。

もちろん、この手のコネクテッドの訴求は、すでに数年前から様々な企業で行われてきていた。しかし、テクノロジー目線の提案が多く、「接続できそうなところは、とにかく接続する」という側面があった。しかし、今回のシーメンスのブースを見ていると、「必要なところだけ連携する」という無駄の無さが消費者視点では好感がもてた。

この記事では、シーメンスを取り上げて紹介しているが、この傾向は決してシーメンスだけではない。比較的テクノロジー面でのできることを訴求することが多い、韓国、中国企業の中でも、欧州でのセールスが好調なハイアールでは、機能性やデザイン性、高級感は訴求してるものの、機能性についてはそれほど訴求をしていなかった。

多くの企業とのコネクティビティを実現する、プラットフォーム

この流れに逆行するように(というより、テクノロジーありきの訴求では当たり前の流れだが)、とにかく多くの企業サービスとの提携を進める企業も登場している。中国企業の「Tuya」は、すでに30,0000以上のプロダクトとの連携し、200を超える国をカバーしているという。

30,000以上のデバイスと接続を可能としているTuya

初期のスマートホームでは、Z-WAVEやZigbeeなど通信レイヤーでの連携が話題のメインであったが、Tuyaのようにアプリケーションレイヤーまで抽象化した連携が実現されると、多デバイス間での連携も実現性が高くなったと言える。

テクノロジーからのアプローチは、今後「つないでどうする?」というところに話題が集まっていきそうだ。

単純につながればよいのかという問いへの回答

とりあえずつながるのはいいが、何をするのかは消費者任せ、とはいかない。

スマートホームへのの取り組みが始まって以来、「家電製品を単純につなげていこう」という取り組み自体は、以前からあまり進んでいない感触がある。

というのも、先ほどのTuyaの例で見てもわかるように、「つないで何をする?」ということに解があまりないように感じるからだ。

ビジネス面から成功している事例を紹介すると、米国西海岸のスタートアップで、「後付ドアベル」で大成功し、現在Amazonの配下にある「Ring」は、ドアベルからセキュリティカメラのサービスへと展開を始めている。

ringは、ドアベルというより、異常者の記録や配達状況の確認などで使われているという(ringホームページより)

この流れは、家ナカのデバイスが1つでも入ってしまえば、その管理システムは必須となるため、スマートフォンアプリ上で、それにつながる他のデバイスも訴求することができるというテクノロジーの側面がある。

しかも、そう言ったテクノロジーの側面以上に、Ringがドアベルを押した人を画像認識し、単なる来客認識以上にセキュリティ管理に使われている実態から、家ナカのセキュリティへ展開するという、利用シーンから見れば同一線上にあるサービスを打ち出しているのが消費者にとってはわかりやすい。

bekoでも、カメラやドアベルなどを連携してアプリで統合管理できるという訴求がされていたが、「セキュリティ」と「温度管理」は違うこととしわけるべきではないだろうか。

一方で、スマートホームで多くの家電メーカーがやりがちなのが、「ただ技術的につながる」ということを訴求することだ。

この場合、コネクテッドであること自体が、消費者にとって求める価値とはならないため、例えば何かの家電製品を買った消費者が、同じコネクテッドのエコシステムの中で次の家電製品を選び、買う理由とはならないことに気づくべきだろう。

そう考えると、冒頭紹介したシーメンスのように、洗濯機は洗濯機の機能を訴求し、コーヒーメーカーは、コーヒーメーカーとしての機能を訴求する、という大前提の元、つながるメリットを必要に応じて付加していく。そして、なにかの製品での利用上、つながっていることがとても便利であると感じられれば他の製品への普及効果もある、という捉え方をして、家ナカのコネクテッドを考えていくことが重要となる。

センシング性能が向上し、エッジレベルでのAIの利用も可能となってきている(エッジインテリジェンスが実現できる)今、まず求められるのは家電そのものがこれまでできなかったセンシングを行い、利便性などを向上させることなのではないだろうか。

全くの新築で、すべての家電製品を一社のプロダクトで充足するということが簡単ではない以上、家電製品は、繋がった状態を訴求するのではなく、それぞれ単体で購入されることを前提として訴求し、生活の流れを意識した商品展開を考える必要がある。

そして、一つでもコネクテッドな家電製品を買っていただいたら、その家電の果たす役割と同一線上にある商品を訴求していくことが重要になる。

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