株式会社富士通研究所は、第5世代移動通信方式(以下、5G)で要求されている毎秒10ギガビット(以下、Gbps)超の高速通信で、1枚のアンテナパネルで4人のユーザーへの同時通信を実現する、28GHz帯の小型装置を開発した。
スマートフォンや4K映像、VRなどの普及により、高速な無線通信の需要が高まっている。その一方で、人が密集する市街地やスタジアム、イベント会場などでは、無線通信容量が不足し、通信の遅延や接続の不良といった問題が起こっている。そこでこの問題を解決するために、5Gの開発が世界的に進められている。
5Gは、10Gbps以上の高速・大容量通信が実現できる一方、電波の直進性が強く障害物で遮断されるため、数10mおきに基地局を配置するスモールセル方式での利用が想定され、実用化にはどこにでも設置可能な小型化が求められている。
現在の5Gのシステム構成は、複数の端末に同時通信する際に、その端末分のアンテナパネルを用いる必要があるという。今回、128個のアンテナ素子からそれぞれ発せられる信号の位相(角度)を高精度に制御することで、信号間の干渉を抑え、1枚のアンテナパネルだけで4方向への同時通信が可能になる。また、水平・垂直の両方向に対して電波を可変することができ、通信エリア拡大に成功したという。
これにより、これまで2枚以上必要だったアンテナパネルを、約13cm角のプリント板1枚に収めることができ、駅前やスタジアムなど人が多く集まる場所でも小型の基地局の設置による5Gの高速通信が可能になるという。
富士通研究所では、同技術のさらなる性能向上・高信頼化を進め、2021年頃の実用化を目指すと発表した。
プレスリリース提供:富士通研究所
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