「LTE over IP」が5G時代に期待される理由
池田: 弊社の「LTE over IP(LTE 仮想化技術)」は、SIM認証などのLTEプロトコル群を、既存のIPネットワーク(インターネット)環境に実装する世界初の技術です。これにより、企業はライセンスバンドを使わなくても、自前でLTEネットワークを構築することができます。
小泉: 5Gは、スマートフォンなどだけでなく、産業用途でも注目が集まっています。例えば、製造業で5Gを使うことで、日本にある保守管理センターから、海外の工場の稼働状況をリアルタイムで把握する、ロボットを遠隔操作する、といったことが5Gによって可能になると期待されています。
しかし、実際には、5Gの大部分はスマートフォンなどの民生用のデバイスに割り当てられ、工場の5G活用などは網羅されない可能性があります。そうしたところに、「ローカル5G」が期待されるのではと考えています。
その場合には、高速の周波数帯である「20GHz」のWi-Fiなどと、御社の「LTE over IP」をかけ合わせれば、自前の5Gネットワークを構築できるということでしょうか。
池田: おっしゃるとおりです。
池田: 「LTE over IP」は、携帯キャリアが主導している「中央集権型」のプロトコル(LTE)と「自律分散型」で発展してきたインターネット(IPネットワーク)が重なる領域を、うまく“いいとこどり”しているところがコンセプトです(上図)。
かつて、スティーブ・ジョブズが、「文系と理系の交差点に立てる人こそ大きな価値がある」と言いました。私もそう思います。「異種のものが交わるところに価値がある」。これは、私の経営者としての哲学です。このことが、「LTE over IP」を開発した背景にもなっています。
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技術・科学系ライター。修士(応用化学)。石油メーカー勤務を経て、2017年よりライターとして活動。科学雑誌などにも寄稿している。