先日、大阪、コ・ワーキングスペースDECKで「第一回 関西IoTグループ勉強会」が開催された。当日は、休日であるにも関わらず70名もが参集し、講義と、パネルディスカッション、ライトニングトークを行った。
IoTビジネスをDeCIDEする ー株式会社ウフル 八子 知礼氏
IoTには「Decide:早く決めて着手する」「Collaboration:自社だけでなく協業する」「Innovation:生産性でなくイノベーションを目指す」「Dream:日本ならではの夢のあるサービスを目指す」「Eco system:自律的に発展するエコシステムを作る」という5つの重要な要素があることについて説明があった。
その上で、IoTの基本的な実現像とビジネスコンセプトについて、基本的なフレームワークを示した上で、「単につなぐだけでなく、その系にない大量のデータと合わせて、AIにより気づかないパターン認識や予測モデルを実現することで、イノベーションを起こすことが重要だ。」と述べた。
オプテックスのIoTの取り組み ーオプテックス株式会社 中村 明彦氏
オプテックスの中村氏は、通信と技術の発展の中で様々な先進的なモノを作ってきたという紹介と、所属しているオプテックスの事業について説明があった。
オプテックスは、滋賀県を本拠地とするグローバル企業で、全体の売り上げ構成としても日本は約1/3程度だ。わかりやすいところでいうと、自動ドアのセンサーや、監視カメラなどを作っている。「自動ドアのセンサー一つとっても、日本とアメリカでは感度やセンシングする面積を変えている」(中村氏)といった、モノを作る上での工夫についても触れた。
そのうえで、様々な製品の紹介があり、特にソニー損保と共同ですすめているドライブレコーダーと、その発展形について述べた。
参考:
センサー技術のプロがつくる、自動車損保が安くなるサービス ーOPTEX 中村氏インタビュー
第5回 IoT/M2M展 レポート その5
SORACOMの取り組むIoTの技術的課題と解決策 -株式会社ソラコム 片山 暁雄氏
ソラコムの片山氏からは、オフィス機器を扱う企業をモデルに、IoTを取り組むうえでの技術的な課題とそれをSORACOMがどのように解決していくかという紹介があった。片山氏は、本質的な価値を「プログラム可能なデータ通信を提供することでIoTをやりやすくしている。」とし、「ここ数年のイノベーションはモバイルとクラウドが当たり前になることで実現されてきた。ソラコムは、自社のサービスでIoTも当たり前に実現できるようにしていきたい。」と述べた。
また、今後注目している技術として、人が使う通信ではなく、IoTに向けた新しい通信規格LPWA(Low Power Wide Area)を紹介した。SigFoxや、LoRa、NB-IoTなど、低速だが、低消費電力で、1日4回程度の通信であれば2500mAの消費電力であれば5年は使い続けられるというような技術だ。
さらに、SIMのチップがソフトウエア化していくという流れにも注目しているということだ。
IoTに必要な思考法 -IoTNEWS代表 小泉 耕二
先日行われたIoTConferenceからコマツの事例を取り出し、「IoTする」のではなく、「課題解決をするなかで結果的にIoT」であったという紹介があった。さらに、成功事例を下敷きに概念化し取り込むことの重要性や、ビジネスプロセス全体を俯瞰することで自社のビジネスにおけるゲームを変えることの必要性も述べた。
さらに、先日インタビューを行った、ノルディックセミコンダクターのチップの例をもとに、発想を広げることが重要であるとした。
ライトニングトークとパネルディスカッション
講演の後、懇親会をしつつ、ライトニングトークとパネルディスカッションが行われた。登壇者に対する質問も多く、ディスカッションもかなり活発に行われていた。(内容は過激な部分があるので割愛する)
関西は、製造業も多くIoTに対する注目度の高さと熱気を感じた1日であった。第2回の開催が楽しみだ。
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IoTNEWS代表
1973年生まれ。株式会社アールジーン代表取締役。
フジテレビ Live News α コメンテーター。J-WAVE TOKYO MORNING RADIO 記事解説。など。
大阪大学でニューロコンピューティングを学び、アクセンチュアなどのグローバルコンサルティングファームより現職。
著書に、「2時間でわかる図解IoTビジネス入門(あさ出版)」「顧客ともっとつながる(日経BP)」、YouTubeチャンネルに「小泉耕二の未来大学」がある。