現在、人工知能や機械学習では、確率的なアルゴリズムが多岐にわたり利用されている。しかし、その演算は物理的に、決定論的に動作する半導体回路で行われており、ソフトウェアとハードウェアの間には不整合が存在する。
こうした中、東北大学電気通信研究所の小林奎斗大学院生と深見俊輔教授らは、アメリカのカリフォルニア大学サンタバーバラ校のKerem Camsari博士らと共同で、確率的なアルゴリズムの実行に適した確率論的コンピュータを開発し、その動作を検証したと発表した。(トップ画:研究で作製された半導体・スピン融合確率論的コンピュータのデモシステムの実機)
検証では、自然の熱で確率的に振動するスピン素子が生成する物理乱数を用いて疑似乱数生成半導体回路を駆動することで、優れた計算性能が得られることが確認された。
さらに、確率動作スピン素子を主体とする最終形態の確率論的コンピュータでは、現行の半導体回路で確率的な計算を行う場合と比べて、4桁程度の小面積化と3桁程度の省エネ化が達成されることが明らかになったのだという。
なお、今回開発された半導体・スピン融合確率論的コンピュータは、現行の人工知能や機械学習向け半導体回路の課題を克服すると期待されている。
研究成果は、英国時間2024年3月27日に、科学誌「Nature Communications」に掲載されている。
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