センスウェイ株式会社は、LoRaWAN(低電力広域通信規格)によるIoT通信プラットフォーム事業を事業化すると共に、本格サービス開始に向けて様々な実証実験を拡大していくことを発表した。
背景と概要
センスウェイは、個人から法人まで広くIoTの普及を加速させるため、全国に基地局を設置し家庭や店舗・オフィスから学校・病院・工場・農地・ショッピングモールなどの大規模商業施設まで、シームレスに「誰でもすぐに使える」IoT通信プラットフォームの実現を目指すとしている。
そのために従来から普及の課題であった小規模導入や実証実験を容易に開始できるよう、IoTデバイスと基地局網、ビッグデータ管理のためのクラウドサーバを活用することでリーズナブルな月額通信料金を設定していくという。
同社では、三井不動産株式会社、明成通信株式会社の協力を得て、柏の葉キャンパスにおいてIoTプラットフォームのセキュアなネットワークの有用性可用性を検証する実証実験を行った。その結果、従来は難しいとされていた上り242バイトの遠距離データ送信に成功。
同時に、関係官庁に対し電気通信事業者として登録手続きを行い、電波法・電気通信事業法を順守する運営体制を整えているという。また、2017年10月31日には、一般社団法人TXアントレプレナーパートナーズ(TEP)を中心にエンジェル投資家によるシードラウンドの資金調達を終了した。
柏の葉キャンパスでの実証実験
センスウェイは、三井不動産株式会社、明成通信株式会社の協力のもと、柏の葉キャンパスにてLoRaWANの実証実験を行った。柏の葉キャンパスの三井不動産の施設屋上にLoRaWANの基地局を設置、柏の葉キャンパス・エリアでのフィールド試験を行った。
柏の葉キャンパス駅付近に設置したLoRaWAN屋外基地局からGPS-LoRaWANデバイスを携帯して移動、1,200カ所で測定を行い、柏市の3分の1をカバーした。
柏の葉キャンパスからの長距離送信試験を実施、つくば(25.56km)、東京・文京区春日(27.58km)、東京・世田谷区三軒茶屋(37.89km)、千葉みなと(35.36km)、横浜(56.81km)などで送信試験に成功した。
富士山の五合目からの送信試験にも成功し、123.43kmのLoRaWAN国内最大飛距離を確認した。この実証試験により、LoRaWANは途中に障害物がない見通し通信であれば100kmを越える長距離通信が可能であることを実証した。
江ノ島での実証実験
センスウェイは、明成通信株式会社の協力で、江ノ島の海の家の上にLoRaWAN基地局を設置、湾内での電波強度の測定を行い、同時に長距離通信の実証実験を行った。江ノ島から、44.32kmの熱海でも相模湾を越えて通信が可能だった。
大容量データ送信試験
センスウェイは、柏の葉キャンパスにおいて、LoRaWANの最大データレート(DR5)242バイトの送信試験を行った。
同実証実験では、2km以上離れた地点から242バイトの送信が可能だった。この結果からLoRaWANでの大容量データ通信の応用例として以下のようなユースケースに応用可能だとしている。
【関連リンク】
・センスウェイ(SenseWay)
・三井不動産(Mitsui Fudosan)
・明成通信(MEISEI)
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技術・科学系ライター。修士(応用化学)。石油メーカー勤務を経て、2017年よりライターとして活動。科学雑誌などにも寄稿している。