株式会社オカムラでは、オフィス・店舗・物流倉庫などの空間づくりを総合的に手がけており、顧客へ提案する際に、営業から生産部門に対して製品の詳細情報を問い合わせするなど、日々の業務において社内のナレッジが必要になる場面が多かった。
そこで、ブレインズテクノロジー株式会社が提供する、企業内のデジタルデータを横断検索・全文検索することができる企業内検索エンジン「Neuron Enterprise Search(以下:Neuron ES)」や、社内規定に対応したシナリオ型チャットボットを導入・運用していた。
しかし、入社して間もない社員は検索に適したキーワードが分からず、これらのツールを使いこなすことができずにいたのだという。
また、検索で製品マニュアルなどのPDFがヒットしても、それを熟読して理解するには時間が掛かり、結局、社内の有識者に質問することになるため、質問する側・答える側ともに生産性の低下を招いていた。
こうした中、オカムラは、TISインテックグループの株式会社アグレックスの支援のもと、生成AIとエンタープライズサーチを組み合わせた社内ナレッジ検索システムを構築し、検索効率化により生産性を向上したことを発表した。
今回アグレックスは、業務アプリや自動化ツールを作成できるローコード開発プラットフォームである「Microsoft Power Platform」の複数ツールを組み合わせて、生成AIと「Neuron ES」、オカムラ社内の製品情報などの基幹データベースを連携させる仕組みを構築した。
この仕組みでは、「Microsoft Teams」上で入力した自然言語による質問を、生成AIが理解して検索キーワードを抽出し、「Neuron ES」がそのキーワードから社内横断の検索を実行する。そして、ヒットしたファイルの内容を再び生成AIが要約して回答するというものだ。
「Neuron ES」が管理しているPDFファイルや製品情報のデータベースをRAGとして扱い、ユーザが質問した内容に対して、オカムラの製品名であることを理解したうえで、的確な検索キーワードを生成する。RAGの活用により、特定のディレクトリに参照元ファイルを保存するだけで、最新情報に反映することが可能だ。
また、回答の参照元となる情報を追加する際には、学習データを用意したり全体のフォルダ構造を変えたりすることなく実行することができるのが特徴で、メンテナンス負荷が軽減できる。
今後オカムラは、同システムが製品や社内規定などあらゆる質問への入口となることを目指しており、現行のチャットボットも同システムに統合するなど、継続的な改善と機能強化を図ることを予定している。
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