経産省・NEDO・楽天など、準天頂衛星システム「みちびき」を活用したドローン実証実験を実施

昨年11月1日にサービスを開始した準天頂衛星システム「みちびき」は、GPSを補い、センチメーター級測位補強サービスの提供ができることや、天頂付近に長く留まることで衛星からの配信信号が周囲遮蔽物の影響を受けにくく、ビルの谷間などの場所での利用可能性が高い、といった特徴がある。

一方、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)は、物流、インフラ点検、災害対応などの分野で活用できる無人航空機の性能評価基準などの研究開発を進め、安全に社会実装するためのシステム構築および飛行試験などを実施するプロジェクト(※)を進めている。具体的には、運航管理システムの開発、衝突回避技術の開発、国際標準化活動に取り組んでいる。

このほど、内閣府宇宙開発戦略推進事務局、経済産業省は、NEDO、楽天株式会社に協力を要請し、「みちびき」のセンチメーター級測位補強サービスを活用したドローンによる株式会社自律制御システム研究所、三菱電機株式会社、一般社団法人日本ドローンコンソーシアム、公益財団法人埼玉県公園緑地協会とともに、「みちびき」を活用した物流分野でのドローンによるピンポイント配送(1m四方以下のターゲットへの着陸)を想定した実証実験を行った。

同実証実験は、埼玉県熊谷市の熊谷スポーツ文化公園内の「彩の国くまがやドーム」内で、「みちびき」のセンチメーター級測位補強サービスを楽天ドローンの専用機体「天空」の自律飛行制御に活用し、2019年3月12日から3月19日の期間実施された。今回の試験は、次の3つの意味を持つ。

  • 有限な空域の有効利用
    将来、多数のドローンが飛び交う世界を想定した場合、高精度な測位とそれを用いた飛行制御が可能となることで、飛行するドローン同士の間隔を小さくし、有限な空域内で同時に数多くのドローンが飛行できるようになる。
  • 画像認識用マットの省略
    高精度な測位とそれを用いた飛行制御が可能となることで、着陸のための画像認識用マットや画像認識ユニットの搭載が不要となる。
  • ドローンポートの小型化
    ドローンを用いた物流において、高精度な着陸が可能になることで、ドローンポート(離着陸場)を小型化することができ、必要な場所に容易に配置することができる。これにより、効率的な運用ができるようになる。

今回の実証実験は、「みちびき」を用いた飛行精度を検証するため、周囲が構造物で囲まれているドームで実施された。テフロン天井のドーム内は、屋外と比べて電波が減衰し電波強度が弱い環境である反面、風による影響を受けないため、着陸時の位置精度試験として適切なデータを取得できる。通常、ドローン搭載のセンサーで着陸位置制御を行うといった方法が用いられるが、今回は準天頂衛星システムによる位置制御のみを用いて実証実験を行った。

実証実験の結果、1m四方の枠内をターゲットとして、幅数cmの白線上にピンポイントで着陸させることに成功し、高精度なピンポイント配送が実現できることが分かった。これにより、ドローン運航の高密度化、離発着場所の小型化の実現可能性を確認することができ、「みちびき」の物流用途における活用可能性を検証することができた。

※「ロボット・ドローンが活躍する省エネルギー社会の実現プロジェクト」2017年度~2021年度の5年間を実施期間予定としている。

出典:経済産業省ウェブサイト

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