従来のコールセンターにおけるIVR(自動音声応答システム)は、利用者が長い音声ガイダンスを聞き、自ら判断して番号を選択する必要がある。
このプロセスは、ガイダンス途中での離脱や、誤ったメニュー選択による応対時間の長時間化、特定のオペレータへの業務偏重といった課題を招いており、顧客体験(CX)と業務効率の両面で改善が求められている。
こうした中、株式会社三菱UFJ銀行は、NTTドコモビジネス株式会社が提供する生成AIエージェントを用いた「発話ベースルーティング(電話着信先の振り分け機能)」の運用を2025年12月16日より開始した。
同システムは、生成AIが発話内容をリアルタイムで解析し、その意図を汲み取った上で、最適なオペレーターへ自動的に接続する仕組みだ。
これにより、三菱UFJ銀行のフリーダイヤルの一部メニューを利用する顧客は、プッシュボタン操作を行うことなく、用件を自然な言葉で話すだけで済むようになる。
同社は導入に先立ち、実際の問い合わせ内容を再現した実証実験を2024年3月から7月にかけて実施。AIに金融機関特有の専門用語を学習させデータを蓄積することで、振り分け精度の向上を確認している。
また、用件の特定が困難な問い合わせに対しても、独自開発の学習技術を活用することで、接続フローを継続的に改善できる体制を整えた。
三菱UFJ銀行は今回の導入を通じて、問い合わせ時の顧客負担を軽減し満足度を高めるとともに、オペレーター業務の平準化を図り、コンタクトセンター全体の生産性向上を目指すとしている。

