期待が高まる、バーチャル・リアリティ(VR)のオフィスでの活用
小泉: クラウドが登場したように、世の中ではさまざまな変化があって、私たちの生活や仕事のやり方は変わってきていることがわかります。
他に、私が最近面白いと思った例で、「HTC Vive」というバーチャル・リアリティ(VR)技術を使った事例があります。
VRが見えるゴーグルをつけ、コントローラを手に持って操作します。バーチャル空間上に会議室があり、5Gなどの高速通信を前提として、会議を行ったり、製品の設計図面をバーチャル空間上に映し、ひっくり返したり回したりして、ディスカッションできるというデモンストレーションです。
VRなので体験してみないとわからないということもあるのですが、これは、私としてはかなりセンセーショナルな体験でした。
これだと、本当に会議室が必要なくなると思ったのですね。こういうものについては、八子さんはどう思われますか?
八子: クラウド上に3DCADのデータがあり、それを複数のメンバーでクラウド上にアクセスし、それぞれのローカルな3D端末で共有する、というようなものは既にありますよね。
小泉: はい。それだと、今でもできるかと思います。ドキュメントを共有するだけでなく、一緒につくれるといった製品もあります。
そういった「共同作業」ができるような製品は増えていると思うのですが、私が体験したデモでは、生々しさが違うような気がしました。アバターがいて、そこから先方が話している声が聴こえてくるからではないか、と思っています。
八子: アバター(ユーザーの分身となるキャラクター)がいるんですね。
小泉: はい。アバターがいて、小泉、八子さん、というようにそれぞれに名前がついています。ただ、実物はどこにいるかはわかりません。でも、同じテーブルの上で同じテーマについて議論ができる。
八子: ワークスペースの中に、”没入”できるしくみということですね。クラウドやアプリケーションがクラウド上にあったとしても、操作環境やユーザーインターフェースがネットワークの外側にある場合とは違いますね。
小泉: バーチャル空間上にユーザーインターフェースがないということですね。
八子: そうですね。ですから、これまでだと、あくまでパソコンないしはスマートフォンの外側にユーザーインターフェースがあって、手や音声といった何らかの操作方法で行うわけですね。
ところが、小泉さんが話してくれたVRの例だと、電脳空間と言いましょうか、クラウドの空間上にヒトが完全に入り込んだような状態のままで、空間操作をすることができる、ということですね。
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技術・科学系ライター。修士(応用化学)。石油メーカー勤務を経て、2017年よりライターとして活動。科学雑誌などにも寄稿している。