IoTでかわる近未来のビジネス ―内田洋行ITフェア2016レポート

10月27日、明治記念会館で開催された「内田洋行ITフェア2016」の、IoT基調講演「どうなる?! 日本版IoT ~クラウドでつながる・かわる近未来ビジネス」に、日本マイクロソフト株式会社 業務執行役員 エバンジェリスト 西脇 資哲 氏、株式会社ソラコム エヴァンジェリスト プリンシパルソフトウェアエンジニア 片山 暁雄 氏、株式会社アールジーン 代表取締役 IoTNEWS 代表 小泉 耕二が登壇した。

 

左側:日本マイクロソフト株式会社 業務執行役員 エバンジェリスト 西脇 資哲 氏
右側:株式会社ソラコム エヴァンジェリスト プリンシパルソフトウェアエンジニア 片山 暁雄 氏

冒頭に片山氏によるソラコムのIoTや事例の話があった。ソラコムは、何度もIoTNEWSで取り上げているIoT向け通信プラットフォームを提供している会社だが、そのソラコムを利用した事例の紹介があった。

例えば、日本紙幣を印刷している業務用のプリンターメーカーである小森コーポレーションでは、プリンターの稼働状況を取る仕組みに、農機具や工場のフォークリフトなどを扱うヤンマーでは、クレーン車の稼働率、グリーンハウスの温度や湿度の遠隔監視に、内田洋行では、百葉箱の温度、湿度、カメラ映像などをリアルタイムに可視化することに、ソラコムを利用しているという。

さらに、ウミトロン社の事例では、魚の群行動解析プログラムで、海での養殖の給仕の量とタイミングを最適化するために魚群センサーにソラコムを利用し、養殖事業者の安定生産とコスト削減を実現するという。その他、農業IoTや不動産IoTの事例などの紹介もあった。

最後に、ネッサジャパン社の事例の話があったが、頻繁にメンテナンスの必要がある補聴器は、これまでお店に行って調整をしなければいけなかったという。しかし、なかなか利用者がお店にいく頻度が上がらず性能が落ち、補聴器を使わなくなってしまう課題があった。そこで、補聴器とIoTの遠隔操作を基盤としたオンラインサポートをセットで提供するビジネスモデルを開始したという。

西脇氏によるマイクロソフトのIoTや事例については、下記をご覧いただきたい。

マイクロソフトのエバンジェリスト西脇氏が語る、AI・IoTでつながる・かわる近未来! ー内田洋行ITフェア2016 レポート

 

「どうなる?! 日本版IoT ~クラウドでつながる・かわる近未来ビジネス」パネルディスカッション

IoTNEWS代表 小泉耕二

パネルディスカッションでは、「IoTでどうやったら儲かるのか。IoTを使ってビジネスモデルが変わった例などを中心に教えてほしい」というIoTNEWS代表 小泉の質問でスタートした。

その質問に対し、マイクロソフトの西脇氏は、ガス燈を作っていた会社が、現在では温度や湿度などのデータを販売するビジネスモデルに転換した事例を説明しながら、「取ってきたデータをどうするかという発想が大事。」と述べた。

ソラコムの片山氏は、「例えば、タクシー会社は、計算上、都内の全ての道路を数分に1回通ることができるそうだが、そのようなセンシングができる会社は少ない。タクシー会社自身は“移動”がビジネスだと思っているが、そのデータがほしい人はたくさんいるのではないか。物理的なインフラを別の視点から見ると、他の人にはすごく価値がある。それは新しいビジネスになる。」と述べた。

「ビジネスモデル転換の着想はどこからくるのか?」という小泉の質問には、「データを欲しい人と持っている人のマッチングだと思う。集められるデータは荒いものでもいいと思う。現場の知恵や経験の上にセンサーがつくので、そういう人が重要。自社のお客さんのお客さんと話をしたほうがいい。(西脇氏)」、「自社だけでできることは少ない。ソリューションは世の中に転がっているので、こういう場に出たり、情報を集めたりしてエコシステムを知ったうえでデータをみると、話が進むと思う(片山氏)」とそれぞれ回答した。

わかりやすい例として西脇氏は、「犬を見守るサービスで、“犬の位置がわかっても・・・”、と思うかもしれないが、ペットを飼っている人同士の会話で、“犬と一緒に入れるカフェがないね”という声を聞くことができれば、犬についたセンサーデータを見て犬が集まる地域がわかれば、そこにペットと一緒に入ることができるカフェを出せる。」と説明した。

次に、コマツのIoTを例にして「商売の内容は変えずにビジネスの幅を広げる、ビジネスプロセスを変える事例についてはどういったものがあるか?」というテーマでは、観光地の事例やUberEATSなどについてディスカッションが行われた。

最後に、「重要なのは1つの部署で考えないことが大事。会社の売上をあげたり、工数を減らすという視点が必要。新しいビジネスをやろうとするとしばらくは儲からない。なるべく安く失敗して、その中でヒットを見つけるのが成功の秘訣なのではないか。(片山氏)」

「1点目は規格、方向性考えるときに現場や、お客さんのお客さんの意見など多様な意見をまじえるのが必要。2点目は、厳しい言い方をするといらないデータはない、これまで捨てていたデータは捨てないでほしい。今後はAIがデータを必要とするから溜めておいてよかった、と思うはず。(西脇氏)」と、それぞれのコメントで締めくくった。

【関連リンク】
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内田洋行ITフェア2016

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