先日動画が公開され話題になった、日産の自動で元に戻るイス「INTELLIGENT PARKING CHAIR」のYouTube視聴数がすでに110万回を超えている。(2016/2/23現在)横浜にある日産グローバル本社ギャラリーで、日産自動車株式会社 マーケティング本部 販売促進部 冨井氏にお話を伺ってきた。
この INTELLIGENT PARKING CHAIR は、日産のインテリジェントパーキングアシストという自動駐車の技術が応用されている。全く同じ構造ではないということだが、インテリジェントパーキングアシストに搭載されているアラウンドビューモニターに近い考えで作られている。
アラウンドビューモニターとは、クルマに搭載されているフロント(前)、リア(後)、左右の4つの広角カメラで取得したデータを処理・合成し、真上からクルマをみることができるモニターのことだ。
その考え方を応用し INTELLIGENT PARKING CHAIR の場合は、天井部に設置された4つのカメラで常にイスの位置を見ており、あらかじめイスがどこに戻ればいいかということがプログラミングされている。
イスが所定の位置からずれバラバラになった状態で、拍手をするように手をパンパンと2回叩くとそれが合図となり、無線でINTELLIGENT PARKING CHAIR に命令が飛ぶ。そしてプログラミングされていた場所からどのくらいずれているのかを計算し、元の位置に戻るようになっているという。間に障害物があるとどうなるかという点については、このデモンストレーションでは想定されていない。(マーケティング本部 販売促進部 冨井氏)
インテリジェントパーキングアシストはCM等でも訴求しているが、クルマに興味がない人には届かないという課題があった。そこで、今年から「技術の日産が、人生を面白くする」というメッセージで、クルマに全く興味がない人にも日産の技術を知ってもらうために、まずは身近な「イス」に着目した。
技術プロモーションのためにこの INTELLIGENT PARKING CHAIR が作られたため、実用化を考えて作られたモノではないが「欲しい」という声もあがっているそうだ。動画の視聴回数も大きく伸び、予想外の反響だったという(広報担当者)。
日産の技術の歴史は1996年にさかのぼる。その後、2007年にアラウンドビューモニター、2013年にインテリジェントパーキングアシストが登場した、そして2020年には交差点を含む市街地での自動運転の実現を目標としている。
今回の取材で、そのインテリジェントパーキングアシストが搭載されている車両に試乗した。
基本的には、白線を認知しその情報を元に自動で駐車される仕組みで、行き過ぎたり障害物があったりすると前と後ろについているセンサーが検知し、止まるようになっている。この一連の駐車については全てクルマ側で動いており、クラウドには繋っていない。
■自動駐車のモニター操作、クルマの中から見た自動駐車
上記映像にあるように、駐車位置を設定しボタンを押すだけで簡単に駐車ができる。ブレーキやシフトレバーを操作はする必要があるため、完全にほったらかしで車庫入れができるわけではないが、ハンドル操作は全く必要がないため、駐車に自信がない人には非常に助かる機能だといえる。
現在、インテリジェントパーキングアシストが搭載されている車種はSUVのエクストレイルのみとなっているが、カーナビとセットでオプション販売されており発売当初は4割ほどの購入者がインテリジェントパーキングアシストを導入したという。マーケティング本部 販売促進部 冨井氏は「現在の導入は3割程度となっているが、通常メーカーのナビを選ぶ人の割合は1~1.5割ということを考えると、自動駐車への関心が高いのではないか」、とコメントした。
※INTELLIGENT PARKING CHAIRの展示は2月23日で終了
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