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アドバンテック、IoTプラットフォーム「WISE-PaaS」における共創パートナーの活用事例を紹介

2019年6月14日、アドバンテックは港区新橋にて「IoT共創パートナーカンファレンス」を開催した。

これは同社の提供するIoTプラットフォーム「WISE -PaaS」を活用し、ソリューションを進める企業パートナーを募るカンファレンスである。

「WISE-PaaS」はデータストレージや伝送といったデバイス管理から、ダッシュボード(複数の情報源からデータを集め、概要をまとめて一覧表示する機能)の構築までを担うソフトウェアである。

カンファレンス内では実際に「WISE-PaaS」を組み込んだソリューション事例が紹介された。当記事では紹介された3つの企業事例についてお伝えする。

東京エレクトロンデバイスの工場可視化

1番目は東京エレクトロンデバイス・ECBUクラウドIoTカンパニー部長代理の広中誠氏より工場可視化の実例が紹介された。

アドバンテック、IoTプラットフォーム「WISE-PaaS」における共創パートナーの活用事例を紹介
東京エレクトロンデバイス・ECBUクラウドIoTカンパニー部長代理
広中誠氏

東京エレクトロンデバイスは、製造業に向けて半導体を提供し技術支援を行う半導体ソリューション事業、エンタープライズ企業やデータセンターなどにITインフラを中心とした製品を提供するITソリューション、マーケティングを元に開発者目線で半導体ボードを作る「インレビアム」という自社ブランド事業を主柱とする会社だ。

東京エレクトロンデバイスは2018年7月にIoTエッジコンピューティングソリューションの開発・販売をアドバンテックと共同で推進していくことを発表している。

今回、東京エレクトロンデバイス・広中氏が紹介したのは、長崎にある同社の工場における可視化の実証実験だ。

東京エレクトロンデバイス・広中氏は「現在、多くの工場で使われている製造機は古く、メーカーや製造年もバラバラ。全ての製造機をつなげ、可視化するのが困難な状況である」とまずは工場の可視化を進める上での現状の課題を指摘した。

その上で、今回の実証実験ではアドバンテックのタワーライトセンサー(トップ画像)を導入し、長崎工場の各製造機に取り付けたことを説明。これは光学センサーで製造機の稼働状態を検知し、無線で産業用コンピュータに飛ばすもので、既に導入済みの古い製造機にも簡単に取り付けることができるのが特徴だという。

収集したデータはクラウド上のプラットフォーム「WISE-PaaS」を介して、長崎から離れた本社・横浜でも監視できるようになったことを、東京エレクトロンデバイスの広中氏は説明した。

このセンサーデータの取得からクラウド側でのデータの可視化までの流れについて、東京エレクトロンデバイスとアドバンテックは製品化していく予定だという。

次ページは、「コマツによる人の作業の可視化

コマツによる人の作業の可視化

二番目はコマツ生産本部生産技術開発センター・溶接結合グループ溶接ロボット開発チームの加茂野亨氏より、溶接工程における人の作業の可視化について発表があった。

コマツ・加茂野氏は、まず溶接工程における労働者不足などの課題に対応するため、同社で作業のロボット化を進める計画が立てられたことを説明した。

ロボット化のためには現状の作業状態を可視化することが必要だが、センサーによる電気信号の抽出を行ったところ、クレーン作業や溶接トーチを持った作業については信号が検知できないという問題が起こったという。

そこでコマツは人の作業を低コストで可視化する方法を再検討し、各センサー技術の調査を行った結果、スマートウォッチとビーコンを使用したセンシングを行うことにした。

まずは作業員にスマートウォッチを装着させ、トーチの持ち上げの有無、クレーン操作の有無を測定し、アドバンテックが提供するソフトウェアによってスマートウォッチのデータを変換処理したという。

スマートウォッチによるセンシングを説明するコマツ・加茂野亨氏

上記の流れにより「以前は50%しか検知できなかったクレーン作業・トーチ溶接の信号を、80%まで検知することができようになり、作業員による作業時間のバラつきを発見することが出来た」とコマツ・加茂野氏は述べた。

次ページは、「ルネサスエレクトロニクスのAIユニットと「WISE-PaaS」の組み合わせ

ルネサスエレクトロニクスのAIユニットと「WISE-PaaS」の組み合わせ

最後にルネサスエレクトロニクス・シニアプリンシパルスペシャリストの若山康司氏が登壇し、同社の製作するAIユニットとアドバンテックの「WISE-PaaS」の組み合わせ事例について紹介した。

ルネサスエレクトロニクス・シニアプリンシパルスペシャリスト 若山康司氏

AIユニットとは、センサーデータによる収集からAIによる分析・評価・判定までのプロセスを行う、ハードウェアとソフトウェアが一体となったソリューションで、設備や機械に後付けすることで異常検知に活用されるという。

ルネサスエレクトロニクス・若山氏が紹介したのは、AIユニットでリアルタイムの異常検知を行い、「WISE-PaaS」で長期のトレンドモニタを行うという、ソリューション同士の組み合わせである。

これはAIユニットで得たエラースコアのみを「WISE-PaaS」に送信し、「WISE-PaaS」側ではダッシュボードによって長期のモニタリングを行い、現場の予知保全につなげるというものだという。

ルネサスエレクトロニクス・若山氏によれば「エラースコアのみを送信するため、すべてのデータを送信する場合に比べて、大幅にデータ量を削減することができる。」と説明した。

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