従来の巡回点検は、施設内を担当者がくまなく巡回することで、点検対象となる機器の確認だけではなく、設備の損傷やオイル漏れなど設備の状況を広範囲に把握している。しかし、ベテラン点検員による目視点検が主流のため、人手がかかる、判断基準があいまいになる、情報が共有しづらい、などの課題があった。
これに対し、360°ビューワーや3Dモデリングによる広範囲なデジタルデータの生成が有効とされているが、データの撮影やマップの生成を人手で実施する必要があるため、結果的に効率が悪くなり、更新頻度も低くなってしまうという課題がある。
地方独立行政法人 東京都立産業技術研究センター(以下、都産技研)とブルーイノベーション株式会社は、工場などの施設内を360°実写VRマップ化し、マップ内を巡回しながら任意の設備や機器を点検できる「360°実写VRマップ自動生成・更新システム」を開発した。
同システムは、ブルーイノベーションのデバイス統合プラットフォーム「Blue Earth Platform」で統合管理されている360°カメラを搭載した複数の自動走行ロボット(Automated Guided Vehicle)が自動巡回し、施設内や点検対象データの取得から実写VRマップ生成・更新までを自動化する。また、5G通信にも対応しており、高速データ通信が可能だ。
これにより、担当者による巡回が不要となるだけではなく、AGVが走行する度に実写VRマップが更新され最新の施設状況を把握することができる。また、実写VRマップ上で巡回・点検できるため遠隔から直感的に確認・共有できるほか、アナログな施設・機器情報も含め施設全体をデジタル化することでDX化に不可欠なデジタライゼーション(情報のデジタル化)が進み、業務の共有化や効率化が向上する。
さまざまなセンサーを搭載し、BEPで一括管理。人や障害物も検知(右)
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