近年、工場でのAIによる生産効率の改善や、課題発見などのニーズが高まっている。しかし、AIの応用にはデータサイエンスなどの高度な専門知識が必要となり、導入障壁が高くなっている。
横河電機株式会社は、ペーパレスレコーダ・データロガー「SMARTDAC+」の「GXシリーズ」、「GPシリーズ」、「GMシリーズ」上に設備・品質予兆検知システムを構築するための、AIを搭載したソフトウェア「設備・品質予兆検知ツール」のクラウド版およびオフライン版の二種類のパッケージを発売した。
SMARTDAC+は、SMART Data Acquisition and Controlの略で、多彩な信号源等に対応した入出力モジュールやオプションを提供している。パネルマウントタイプのペーパレスレコーダ「GXシリーズ」、ポータブルタイプのペーパレスレコーダ「GPシリーズ」、データアクイジションシステム「GMシリーズ」、データロギングソフトウェア「GA10」をラインアップし、製造プロセスの監視、性能評価試験でのデータ収集制御をサポートしている。
今回開発したソフトウェアは、企業が持つデータを読み込んで各データを「正常データ」「異常データ」のいずれかに選択するだけで、予兆検知モデルを作成することができる。機械学習やアルゴリズムなど、AIの専門知識やコンサルティングは不要だ。横河電機の製品のみならず、他社製品で記録したデータも使用できる。また、AIがどのようにデータを判定するか、事前にシミュレーションすることも可能だ。
タイヤのゴムを加工する際に、熱と圧力を加える工程で使用される加硫機において、パッキン劣化などによる圧力リークが課題となっている。同ソフトウェアにより、加硫機の圧力値からパッキン劣化を数値化したヘルススコアの推移から、圧力リークの兆候を事前に検出することができる。
また、航空機部品や自動車部品の熱処理を行う工程においては、バーナー故障や炉の密閉性異常などにより、製品の品質不良や炉のダウンタイムが発生することがあるが、同ソフトウェアにより、温度異常の兆候をアラーム発生前に捉え、製品ロスを回避するとともに、メンテナンス時期を予測することができる。
医薬品や食品の滅菌後の真空引き工程においては、予期せぬ設備故障によるライン停止、製品ロスが発生することがある。同ソフトウェアにより、バルブの緩み、パッキン劣化などの兆候をアラーム発生前に捉えることで、設備故障を未然に防ぐとともに、製品ロスを削減するという。
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