住友金属鉱山株式会社、日鉄ソリューションズ株式会社(以下、NSSOL)、日鉄テックスエンジ株式会社の3社は、住友金属鉱山の製錬事業における生産性向上を目的として、同社のニッケル工場および播磨事業所の設備を対象とした予知保全システムを共同で構築したことを発表した。
住友金属鉱山の製錬事業は、粉砕、溶融・溶解、浸出、浄液、電解といった各工程が連続して稼働しているため、一つの設備の故障が生産ライン全体の停止に繋がりかねず、生産性に大きな影響を与えるという課題を抱えていた。
こうした中、今回発表された予知保全システムを構築した形だ。同システムは、熟練従業員が長年培ってきた経験や暗黙知、そして各設備から収集される音や振動といった実測データ、さらには実際に発生した異常事象をもとに、故障の初期兆候を可視化する。
また、センサデータや各種OTデータを一元的に格納し、大規模時系列データにも対応可能な拡張性と、クラウドアーキテクチャによるアクセス利便性を特長としている。
これにより、回転機器、チェーン、弁など、特性も製造元も異なる多種多様な設備に対して、横断的に予知保全を行うことが可能なシステムが実現した。
具体的には、設備の特性を考慮し、一つの設備から振動や音響など複数のデータを収集し、それらを基に故障予測モデルを開発している。
すでに同システムは、2023年6月よりデータ収集と評価が開始されており、導入された設備の半数以上で既に成果を上げているという。
今後、本格的な導入を進めることで、突発的な故障によるプラント稼働率の低下防止や、部品交換頻度の最適化といった効果が期待されている。
また、同システムの対象設備を拡大するとともに、国内外の各工場への展開を進めていくとしている。
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