アナウト株式会社は、手術中、リアルタイムに疎性結合組織(そせいけつごうそしき)の位置や領域を推定し、強調表示することで、医師の視覚支援を行う手術用画像認識支援プログラム「外科手術視覚支援プログラムEureka α」(以下、Eureka )について、2024年7月上旬、兵庫医科大学病院および国家公務員共済組合連合会 虎の門病院にて使用され、AI視覚支援下での手術が無事に実施されたことを発表した。
疎性結合組織とは、臓器と臓器の間に存在する繊維状の構造物であり、がん等の手術における切除ラインの目印となる重要な構造物だ。熟練医は、適切な緊張をかけることにより、疎性結合組織を露出しながら手術を進める。
「Eureka α」は、手術用の内視鏡システムや手術支援ロボットから受けた映像信号を解析し、術者が通常確認するモニタとは異なるサブモニタ上に疎性結合組織をリアルタイムに強調表示することで、外科医の視覚認識を支援するプログラム医療機器だ。
兵庫医科大学病院の上部消化管外科である篠原尚氏は、術中の使用感について、「解析精度は全く問題ないし、映像のタイムラグも感じなかった。手技の邪魔になることもないため、AI画像を見ながら問題なく手術ができるだろう。」と述べた。
また、「Eureka α」が手術に活用されることにより、今後どのような効果が臨床現場にもたらされるかについて、「人間は自分が認識できるものしか見ようとしないが、AIは全てを見せる。見えているけれど、認識できていなかったものを、見せてくれる。これは手術が上達する過程においてとても役に立つ。若い先生たちが早く上手になれば、手術がより安全になる。」とコメントしている。
なお「Eureka α」は、2024年4月12日に厚生労働省より製造販売承認を受けており、今回の使用を踏まえ、7月17日より販売を開始している。
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