大日本印刷株式会社(以下、DNP)は、映像制作会社に向け、地域文化資源を活用したバーチャルプロダクション用の3DCGデータを提供する取り組みを開始する。今回は、「神田明神」「世界遺産 仁和寺 国宝『金堂』」を高精細3DCGデータで制作した。
バーチャルプロダクションは、スタジオに設置したLEDに3DCGを背景として投影し、その前で人や物を撮影することで、現実の世界で撮影したような映像をつくり出す手法だ。
近年、国内外での利用が拡大しているが、高精細な3DCGデータのバリエーションはまだ少なく、使用許諾に時間や手間を要する公共施設や、破損等の防止から保護対象となる文化財等の3DCGでの利活用ニーズが特に高まっているのだという。
そこでDNPは、対象物へ負荷をかけずに3Dデータを取得し、3DCGとしてバーチャルプロダクションへ展開することで、文化財の保存や活用と、映像制作における課題の解決を目指す。
また、文化財の所有者にデータとしての使用対価を還元することで、新たな収益モデルの構築を支援する。
今回、3DCGデータの制作には、DNP独自の撮影・加工技術による3Dデータ上での微細な凹凸情報等の表現に加え、バーチャルプロダクション特有の撮影に連動したリアルタイムな陰影情報の表現が施されている。
これにより、光源の位置や撮影アングルが変化しても、適切な陰の形状や陰影の強弱を表現することができる。
映像制作会社等は、忠実に再現された文化財を背景に使用できるほか、3DCGならではのエフェクト(効果)の使用などが可能だ。
また、DNPは、文化財以外にも国内外で3,000件以上の計測実績を持つ協力企業と連携し、同社保有の「点群データ」を活かしたバーチャルプロダクション用データを提供するとしている。
今後は、2023年9月4日にソニーピーシーエル株式会社が運用するデジタル背景のライブラリー「BACKDROP LIBRARY」で「神田明神」の公開および3DCGデータ提供がされ、2023年11月中旬以降に同サイトで「仁和寺『金堂』」も同様に公開される予定だ。
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