株式会社GATARIは、日本科学未来館と株式会社乃村工藝社が主催する、非接触型サウンド体験サービス「oto rea」による、視覚障がい者向け実証実験イベント「音と手で探る新展示『プラネタリー・クライシス』」に技術協力企業として参加し、実証実験を実施した。
「oto rea」は、乃村工藝社の空間演出やプロデュースの知見と、GATARIのMRプラットフォーム「Auris」を活用した演出に特化した回遊型の音響体験サービスだ。複数の音を空間に配置することで、顔の向きや動作に合わせた音声を配信することができる。
今回の実証実験では、未来館の新常設展示「プラネタリー・クライシス -これからもこの地球でくらすために」のうち、ゾーン2「変わる地球の今に触れる」に「oto rea」を導入し、視覚障がい者向けにナビゲーション音やシナリオ、効果音などを工夫した上で、コンテンツが全盲の方の展示体験にどれほど有効に作用するかを検証した。
「oto rea」を通して流れるコンテンツは、乃村工藝社によって企画設計され、世界の気温上昇や地域別の二酸化炭素排出量等について学べるものだ。また、会場内を一人で回ることの出来るよう、効果音とナビゲーションによる道順案内が組み合わさっている。
GATARIは、今回の体験用に、「oto rea」から流れる脚本の監修から音声コンテンツの設定、設置までを担い、体験者が展示物のイメージや現場を認識しやすいよう、効果音など音の質にもこだわり開発した。
そこに、直接手で触れながら地球環境について学べる「プラネタリー・クライシス」の展示物が合わることで、目の見えない方でも楽しめる仕掛けが多数施されたイベント内容となった。
実証実験当日は、老若男女計6名の全盲の方が参加し、意見やフィードバックもらったのだという。
「博物館や美術館は、見えないと楽しめそうにないから余り行かないけれど、こういった案内があると楽しいし行ってみたくなる。特に自分一人でも回れるようになれば、お母さんの(鑑賞)時間に合わせなくてもいいから行きやすいと思う」(小学6年生男児)
「展示会は触ることも駄目な所が多いから、音で聞いて触ったりできるのはとても面白い。日常もこんな風に音声案内があると助かる。時間が無いときは、拾う情報量を調整出来たりすると嬉しい」(女性参加者)
「よくある音声ナビは一度間違えるとスタート地点に戻らないと行けない。これが私達にとってはけっこう大変けれど、これは音が鳴る方に行けばいいし、少しなら向かう先を間違えても起動修正できるので良かった」(男性参加者)
今後は、今回の実証実験で得た知見や課題を活かし、視覚障がいのある方と晴眼者が垣根を超えた環境構築を目指すとしている。
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