福岡造船と富士通、AR技術を活用した船舶部品の管理システムを運用開始

福岡造船株式会社は、富士通株式会社および株式会社富士通マーケティングとAR技術を活用した船舶部品の管理システムを共同で開発し、運用を開始した。

同システムは、1隻の化学薬品タンカーを建造する際に使用する配管約1万5千点以上の部品にARマーカーを貼り付け、現場作業員がマーカーをタブレットで読み取ることで、各部品の種類や取り付け位置などを確認することができる。

また、配管を製造する外注業者も同システムで納品予定の部品の情報を管理することで、福岡造船は外注業者の部品の製造状況や納品状況を一括で把握することが可能。これにより、現場でこれまで紙ベースで行っていた部品ごとの図面の確認や、広大な資材置き場に置かれている部品の追跡が容易になるほか、造船の製造工程にあわせたタイミングで外注業者へ納品依頼をすることなどが可能になると期待される。

福岡造船では、同システムにより、外注業者による配管製造から造船への配管取り付けまでの作業工数について約35%の削減を目指すとした。

なお、同プロジェクトは、国土交通省が推進する、IoT技術やAIを活用し、造船の生産性向上のための技術開発支援を目的とする海事生産性革命(i-Shipping)の一環として行われるものだ。

背景

福岡造船では、年間約8隻の化学薬品タンカーを建造し、1隻あたり約1万5千点におよぶ配管部品の組み立てを行っている。

日々、複数の外注業者から数多くの部品が届けられ、現場作業員は大量の紙の設計図面を見ながら、広大な資材置き場に置かれた部品を見つけている。そのため、図面との照らし合わせの負担や部品の選択ミス、置き場不明による混乱など、現場での作業工程における効率化が課題となっていた。

このような課題に対し、国土交通省が推進する海事生産性革命(i-Shipping)にて、「ARマーカーを用いた船舶部品情報の活用技術の開発」をテーマとした福岡造船の提案が採択され、富士通のAR技術により現場業務を支援するシステム「FUJITSU Manufacturing Industry Solution PLEMIA Maintenance Viewer(プレミア メンテナンスビューワ)」を活用し、共同で船舶部品の管理システムを開発した。

複雑に交差する化学薬品タンカーの上甲板の配管
配管部品が積まれた資材置き場の様子

システム導入効果

現場の作業効率を向上

現場作業員は、1万5千点におよぶ配管部品に貼り付けられたARマーカーをタブレットで読み取ることで、部品の種類や取り付け位置、部品ごとの図面などの情報を入手することができる。

また、配管の納品業者が入力した製造状況や納品状況も把握でき、資材置き場の部品在庫の有無が確認できる。さらに、ARマーカーを読み取った際に、設計変更についての注意点を表示することができるため、設計変更の対象となった部品を取り付けしてしまうミスなどの後戻り工事を削減できると期待されている。

作業実績の見える化で管理精度を向上

配管取り付けの作業実績を、ARマーカーを読み取って表示される画面に入力することで、現場管理者は作業状況をリアルタイムに把握でき、空いた組み立て場所の有効活用や、現場作業員の最適配置が可能になるという。

配管部品に貼り付けられたARマーカー

【関連リンク】
福岡造船(FUKUOKA SHIPBUILDING)
富士通(FUJITSU)
富士通マーケティング(FJM)

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