幅広い業界でのビジネス利用が進む「AI(人工知能)」は、日本政府がその普及を政策として支援するほど注目を集めている分野のひとつだ。近年の飛躍的な進歩がその動きを生んだわけだが、この進歩を強力に後押ししたのは機械学習のひとつである「DeepLearning(ディープラーニング:深層学習)」だろう。ディープラーニングを行うワークステーションの処理能力が向上し、膨大な量のデータを高速に処理できるようになったのが大きな要因といえる。
このような背景から、最近では多くのメーカーからディープラーニング用のワークステーションが登場している。ただし、基本的な性能はCPUやメモリー、GPUなどのパーツに依存するため、製品自体の性能ではどれも甲乙つけがたいのが現状といえるだろう。
そんななか、独自のメリットで差別化をはかっているのが、GDEPアドバンスが提供する「DeepLearning BOX」だ。じつはこの製品、NVIDIAが開発した専用機「DevBox」の日本語版として開発された「日本初のGPUディープラーニングワークステーション」なのだが、その特徴やメリットは一体どんなものなのか。今回は、その詳細をチェックしていく。
GPUコンピューティングを熟知した「GDEPアドバンス」
DeepLearning BOXの詳細を見ていく前に、まずは提供元である「GDEPアドバンス」について紹介しておこう。GDEPアドバンスは、GPUコンピューティングとパーソナルHPC事業に携わる複数の専門企業がパートナーシップを組んだアライアンス「G-DEP(日本GPUコンピューティング事業組合)」が2016年に株式会社化した法人組織。GPUコンピューティングに必要なソリューションを総合的に提供するとともに、幅広い技術サポートなどにも対応する。
創世記からGPUコンピューティングを長年専門に扱っているだけでなく、GPUを開発するNVIDIAのエリートステータスパートナーである点も注目してほしいポイントのひとつ。さらに、NVIDIAジャパンからディープラーニングスーパーコンピューター「DGX-1」の販売に於ける功績を評価され、2017年6月に「NVIDIA DGXシリーズ ベストリセラーアワード」を受賞した。肩書に加えて実績も十分といったところだ。
このような点を踏まえれば、GDEPアドバンスが「GPUコンピューティングやディープラーニング用ワークステーションに熟知している組織」であることがわかるだろう。そして、そのGDEPアドバンスが“元祖”GPUディープラーニングワークステーションとして提供しているのがDeepLearning BOXというわけだ。
豊富なソフトウェアを動作確認済みでプレインストール
では、DeepLearning BOXの詳細をチェックしていこう。GPUは最大4基まで搭載でき、倍精度対応のハイエンドGPU「NVIDIA Quadro GP100」や、24GB の高速大容量メモリーを搭載する「NVIDIA Quadro P6000」などが選択可能。CPUは「Core i7 6800k」や「Xeon E5-1620v4」などを選べるほか、ストレージには高速で信頼性も高いIntel製SSDを標準で搭載するのが特徴だ。
ハードウェア設計の工夫として、すべてのGPUにカードプロテクターを装着。輸送時の脱落を防止するだけでなく、ファン回転による振動を抑制する効果もある。また、シャーシは高い冷却性能と拡張性を備えたキューブデザインで、ケース内部を左右にセパレートしたデュアルチャンバ設計を採用。これにより熱源に直接的なエアフローを与え、ケース内部の冷却効果を高めている。
ソフトウェアでは、ディープラーニング関連のフレームワークとして「Caffe」「Chainer」「TensorFlow」「Python」「Torch」「Theano」「CNTK 」などをプリインストール済み。「CUDA」「cuDNN」「cuca-convnet」など、大量の学習データに効率良くアクセスするためのNVIDIAソフトウェアスタッグもしっかり用意されている。
なお、ここで見逃せないのが、単純にフレームワークやソフトウェアスタックを寄せ集めて搭載しているのではなく、事前にしっかり整合性のチェックや動作確認を行った状態でインストールしているということ。実際に機械学習を何十時間も走らせ、正常に終わるまで検証して製品化しているのが重要なポイントで、GDEPアドバンスがNVIDIAやディープラーニングのシステム開発企業と共同で開発しているからこそ可能な手間のかけ方、信頼性の高さといえるだろう。
UIの優れたディープラーニングGPUトレーニング・システム「NVIDIA DIGITSソフトウェア」が利用できるのはもちろんだが、NVIDIA DIGITSソフトウェアの日本語マニュアルまでが準備されているのは、他の製品にはないメリットのひとつだろう。さらに、学習済みのニューラルネットを含むハンドサイン認識サンプルソースなど、オリジナルのパッケージも充実しているほか、不測の事態に備えて自動復旧リカバリーUSBスティックも付属する。細かな配慮が随所に盛り込まれており、初心者でも安心してディープラーニングを始められるプラットフォームとなっている。
将来的なエスカレーションにもシームレスに対応できる
ここまではDeepLearning BOXの機能やメリットを見てきたが、GDEPアドバンスが生み出すメリットもある。オプションサービスではあるものの、豊富なアプリケーションやツールの開発経験を元にした「DLスタートアップサポート」を用意するのも、他社にないメリットといえる。例えば、ディープラーニングの社内レクチャーやワークステーションの講習会などを開催してくれるほか、そこから派生して新たなツールの開発やコンサルティングなどにも対応可能。これらは、長年の実績と経験を持つGDEPアドバンスだからこそ可能な強みといえる。
また、GDEPアドバンスはNVIDIAのエリートステータスパートナーであることから、仮想環境のNV-DockerをプリインストールするDeepLearning BOXの上位モデル「DeepLearning BOX Pro」を取り扱うだけでなく、VOLTA搭載のディープラーニング専用システム「NVIDIA DGX-1」や「DGX Station」の国内席販売代理店でもある。これにより、ワークステーションの将来的なモデルアップやエスカレーションに対して、一括してシームレスに対応できるというのも重要なポイントだ。
仮想環境が必要になった場合などにDeepLearning BOXからDeepLearning BOX Proへスムーズに移行できるのはある意味当然だが、そこからさらにNVIDIA DGX-1やDGX Stationへの展開も容易に検討できる。さらに、NVIDIAのエリートステータスパートナーとして、移行時の手厚いサポートにも抜かりはないだろう。
これらのメリットが評価され、教育機関や医療機関などはもちろん、自動車関連をはじめとした幅広い企業の研究開発にもDeepLearning BOXは導入されている。その数は述べ2000台にものぼり、画像解析や自然言語処理を筆頭に、製薬、セキュリティ、ウィルスやスパムフィルターなどに活用されているそうだ。製品の純粋な処理性能だけでなく、DeepLearning BOXが持つ多くの付加価値が、製品選びの大きな魅力となっているのは間違いないだろう。
DeepLearning BOX
株式会社GDEPアドバンス
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