スポーツ用品小売業を展開する株式会社ヒマラヤでは、店内複数箇所にデジタルサイネージを設置し、販促活動を行ってきたが、効果測定のためのデータを取得できていなかった。また、来店客層に関するデータも取得できておらず、客層に合わせた販促施策の実施が課題となっていた。
Idein株式会社とヒマラヤは共同で、ヒマラヤゴルフ本店にてサイネージ効果測定と来店客層分析に関する実証実験を実施した。
同実証実験では、AIカメラにより、各デジタルサイネージの視聴時間および視聴率データを取得・分析することで、販促物としての価値を明らかにする。また、来店客の属性情報や店内の各通路の集客力を可視化することで、来店客層や通路ごとに最適な販促施策の立案に役立てる。
来店客の男女比は3:1で、男性は30代・40代を中心とした層が多く来店しているのに対し、女性は母数こそ少ないものの20代を含む幅広い年代が万遍無く来店されている傾向にあった。
また、店内に設置されたデジタルサイネージの視聴率は、男性が圧倒的に多いものがあった反面、特定のサイネージは女性が比較的多く視聴しているものもあり、設置場所とコンテンツに一定の相関関係が見て取れた。
さらに、来店客層に対してデジタルサイネージ視聴率における男女差が少ないことから、女性客はデジタルサイネージコンテンツへの関心が高いことがうかがえる。アパレル棚付近に設置されたAIカメラは女性客のフレームイン時間も長かったため、女性向けアパレル関連のデジタルサイネージ展開が有効であると推測される。
同実証実験においてデジタルサイネージの広告枠としての価値を定量的に捉えることが可能になるため、ヒマラヤは来店客やメーカーに対し、リテールメディアを活用した集客や顧客の行動変容など、新たな価値提供につながる。
今後は全国の複数店舗へAIカメラの導入を進め、デジタルサイネージによる店舗のリテールメディア化を通じて顧客体験の向上を目指す。
なお、店頭に設置しているAIカメラは、IdeinのエッジAIプラットフォーム「Actcast」と連携しているため、様々な店舗に設置したAIカメラとデータを一元管理することができる。そのため、ヒマラヤのような全国に展開する店舗でもデータを元にした全社横断の効果的なマーケティング施策を検討・実施することが可能だ。
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