昨今、小売業を取り巻く環境は、人手不足のほか物価高騰による食材原価の増大など、厳しい環境におかれている。その中でスーパーマーケットは、食品カテゴリーの取り扱いを契機とした他業態との競争激化を受け、生産性の向上、需要予測に基づくロス改善、生活者への体験価値向上など様々な課題が存在している。
これまで株式会社ベルクでは、セーフィー株式会社のエッジAIカメラ「Safie One」を各店舗に設置、売り場での陳列・売れ行きの確認などで映像を活用し、売り上げ拡大や業務改善に取り組んできた。
一方、小売業の商品棚割(商品陳列の配置決め)については、計画は本部が作成するものの、各店舗で調整を行うため、現場の経験と勘に基づく運営が恒常化していた。そのため、店長やベテラン売り場スタッフが変わる度に業績変動が起き、現場の「不」として認識されていた。
このほどセーフィーは、Safie Oneにおいて、小売業が商品陳列を検討する際、最も収益が上がる商品構成の示唆を目的とした「商品格付けソリューション」を開発提供すると発表した。今回の開発にあたり、ベルクが運営する「ベルクデジタルラボ」の協力のもと、各店舗内のお弁当売り場やプレミアムゾーン(入口企画/特別販売コーナー)、精肉売り場などで検証を行った。
Safie Oneは、エッジAIを利用したアプリケーション群「AI-App」をインストールして使用する。AI-Appは、一台のカメラに複数のアプリケーションをインストールでき、用途に応じてカメラのアプリケーションを切り替えると様々な機能が使える。AI-Appのオプション機能「Store People Detection Pack」では、人検知によりマーケティング向けの3つの機能「立ち入り検知」「通過人数カウント」「立ち入りカウント」を提供している。店内にいる人の滞留などを可視化し、店舗状況の詳細な把握や分析が可能となる。
今回開発した同ソリューションは、予め本部が指定した基準と現場データを組み合わせ、誰もが「同じ判断軸」で商品陳列の調整を行えるようにダッシュボードを提供し、収益の最大化と業務負担軽減を併せて実現するものである。
各売り場の販売データ(POSデータ)と、一定時間の売り場滞留を検知するSafie Oneの「立ち入り検知」のデータを活用する。具体的には、各販売計画をもとに、その売り場で最重視する項目(売上、数量販売、商品の魅力度、販売利益、環境配慮[廃棄率低減])を選択後、各項目の評点と配賦割合(売上金額、販売数量、定価販売、定価販売率、滞留人数、荒利率、廃棄率)によるランキングが表示される。ランキングと併記される売上高、粗利率をもとに各売り場の状況(販売や製造)も併せ、販売戦略をシミュレーションする。
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