デジタルツインには、あらゆる場所・時間のモノ・コト・ヒトの情報を集約し、適切な計画・連携・意思決定に活用できることが求められているが、現状のデータは、特に屋内空間ではセンサ等の機器が設置できた場所のものに限られてしまい、網羅的ではない。また、データの収集にはコストも手間もかかるという課題がある。
株式会社NTTデータと三菱電機株式会社は、デジタル庁から受託した「デジタルツイン構築に関する調査研究」において、空間ID(※1)をキーにしたデータ流通の第一歩として、モビリティで収集したセンサデータを利用し、日本電信電話株式会社の技術を活用したAIによる空調自動制御(※2)を行う施設マネジメントのユースケース実証を2023年1月16日から27日にかけて実施した。
同実証実験では、NTTデータ品川ビルの2階エントランスフロアにおいて、2023年1月16日~27日の間、温湿度センサを搭載した三菱電機のゴミ箱の自律移動ロボット(以下、ゴミ箱AMR)(※3)を自律移動させ、移動しながら収集した温湿度の情報と時刻を空間IDにひもづけて空間ID基盤システムに連携した。
収集したデータに来館者の数、外気温、空調運転状況などの情報を追加し、AIによる空調制御シナリオ算出技術を活用して、消費エネルギーを抑えつつ温冷感指標(Predicted Mean Vote)が最適となる空調制御を実施した。ゴミ箱AMRは走行用に施設の点群データを収集している。それだけでは施設美化の用途に閉じたサービスになるが、さらにゴミ箱AMRが温湿度データを収集し、AIによる空調制御最適化という別のサービスにも活用される。
3次元空間を人や自律移動ロボットが判読可能な仕様で分割した空間ボクセルに、キーとなる空間IDを設定し、情報をひも付けることで、データ連携とアプリケーション開発の促進する規格があることにより、今後増えるAMRが自身の走行のために施設のデータを利用するだけではなく、施設管理に貢献するデータ収集の一翼を担う協調型のユースケースの一例を示せたとのこと。
協調型のユースケースが増えることにより、データ収集のコストや手間が低減され、それらのデータを活用したサービスの拡大や利用コストの低減につながるとしている。
※1 空間ID:3次元空間を人や自律移動ロボットが判読可能な仕様で分割した空間ボクセルに、静的・動的な情報をひも付けられるための一意の参照点のこと。
※2 AIによる空調制御:NTTの技術を活用した少量学習によるフィードフォワード型のAI空調制御のこと。
※3 ゴミ箱AMR:移動式ゴミ箱のこと。オフィスや商業施設などの屋内外環境で規定経路を自律移動し巡回しながらゴミを収集する。自己位置認識・衝突防止機能を有し、移動しながらセンサデータを取得する自律移動ロボット。
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