ロボカップ2017、生活支援から倉庫管理まで、ロボットを支えるNVIDIAのテクノロジー

先月名古屋で開催された世界最大のロボット競技会、「ロボカップ 2017 名古屋世界大会」では、数千体のロボットとともに100,000 人の来場者 (うち、3,000人は学生・研究者などの参加者)が集った。

4 日間にわたって開催された本イベントの各種競技は、ロボット工学の研究・開発を推進する取り組みの一環として行われている。NVIDIA がスポンサーとなるのはこれが初となり、大会期間中の 3 つのメインイベントそれぞれに参加した各チームが、NVIDIAのテクノロジーを利用した。

ロボット工学の夢の舞台

なかでも人気を集めたのは、ロボットサッカートーナメント。

詰め掛けた来場者は、小型の自律移動ロボットがゴールを決めたり、転倒から立ち上がったりするたびに歓声を送っていた。

ロボカップのサッカーヒューマノイドリーグのキッズサイズ部門 (高さ 40 ~ 90 cm) では、NVIDIAが後援した千葉工業大学のCIT Brains チームのJetson搭載人型ロボットがテクニカルチャレンジの 1 位を獲得した。

同チームは、ロボットにサッカーボールの位置を把握させ、ゴールを守ったり、得点をあげるなどのプレーを行わせるために、Jetsonを利用した。

CIT Brainsのチームリーダーである関遥太氏は、「Jetson TX1のおかげで、チームはディープラーニングベースの物体検出ネットワークを実装し、YOLO、つまりYou Only Look Once手法によってサッカーボールやゴールポストを認識させることができました。」と述べた。

同競技では、2050 年までにサッカーのワールドカップチャンピオンに勝てる人型ロボットのチームを実現することを目標としている。

ロボット工学を活かした家づくりを目指して

ロボカップ@ホーム (アットホーム)チャレンジでは、Jetsonを搭載したトヨタの生活支援ロボット (HSR) が標準機の 1 つとして新たに採用された。

15 の大学から出場したチームが、食卓を準備する、衣服をハンガーに掛ける、食べ物を運ぶなど、日常の家事で人を支援できる機能の開発に取り組んだ。テキサス大学オースティン校のチームリーダーであるジャスティンハート (Justin Hart) 氏は、Toyota HSRでNVIDIA Jetsonにアクセスできることの重要性を力説している。

「ロボット内では多くのシステムが並行して実行されています。CUDA を使用すれば、(ロボットが認識する) 映像フレームの処理にかかるレイテンシを短縮することもできます。」

同チームは、この競技でHibikino-Musashi、eR@sers (両チームとも日本) に次いで 3 位にランクインした。

アマゾンロボティクスチャレンジでGPUとディープラーニングが勝利をもたらす

今年は、ロボカップ 2017で「アマゾンロボティクスチャレンジ」が併催された。

アマゾンが顧客からの何百万件にも上る注文の梱包と出荷作業の自動化を進めるにつれ、3 年前に始まったこの大会の重要性が高まってきた。

今年の決勝戦では、ロボット工学のトッププログラムから16大学が、250,000 ドルを超える賞金をかけて競った。

同イベントの課題は、自律型ロボットアームによる商品のピッキング (取り出し) 技術とストーイング (収納) 技術の開発だ。今年は、ロボットがピッキングしてアマゾンの各コンテナーに仕分ける作業に使う新しいアイテムを、主催者が各チームの挑戦が始まるほんの 30 分前に発表するという形がとられた。リアルタイムのディープラーニングトレーニングと NVIDIA のGPUによって、参加チームのうち 1 チームは、わずか 8 分でこの作業を終えることができた。

オーストラリアのロボット・ビジョン・センター (Australian Center for Robotics Vision)のロボット「カートマン (Cartman)」は、同イベントで生まれたシンデレラストーリーの 1 つであり、レーザー印刷された部品を装備していた。

リハーサルでアームのリスト部が故障してしまい、チームはストーイング競技までに修理を大急ぎで間に合わせなければならなかった。創意工夫、たくさんの結束バンド、そして3D プリンターを駆使し、ついにカートマンを再稼働させることができた。カートマンはペン立てを見事に収めて総合優勝を果たし、賞金 80,000ドルを手にした。

ほかにも、ストーイングチャレンジでは MIT が、ピッキングチャレンジでは南洋理工大学 (Nanyang Polytechnic University) が、それぞれ 1 位を獲得している。

NVIDIA GPUを利用したすべてのチームが、何千枚という在庫商品の画像を使ってニューラルネットワークモデルのトレーニングを行った。また、競技中、物体と体勢の認識にもGPU ディープラーニングの推論が利用された。

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