昨今、都市の再開発等に伴い、地下空間の開発が拡大する一方、短時間豪雨の増加・激甚化により、これら地下空間への浸水被害が懸念されている。
このような地下空間では、いったん浸水が始まると、浸水経路がわからなかったり、経路が複数存在したりすることで、対策が追い付かずに大きな事故に発展するケースがある。また、重要な電力設備等が浸水により故障し、避難活動やその後の事業継続にも大きな影響を及ぼす可能性もある。
こうした中、応用地質株式会社は、デジタルツイン基盤を活用した、建物等施設に対する3次元での浸水対策効果シミュレーションを開発したことを発表した。
このサービスは、建物内部・外部の点群データから、精緻な3次元モデルを構築し、サイバー空間上で浸水経路、時間等をシミュレーションすることで、地下空間での災害対策を高度化することを目指すものだ。
具体的には、対象となる施設の点群データを取得した上で、数㎝程度の段差を再現した精緻な3次元モデルを構築し、Unity上で空間再現する。再現された仮想空間では、現実空間と同様に、施設内の内部を確認することが可能だ。
浸水シミュレーションは、建物周辺の冠水を起点とし、各経路を通じた地下への浸水をサイバー空間内で再現する。また、施設内への水の流入量の変化や、止水板等の浸水対策の有無を加味する機能を実装し、対策設備の効果についても検証を行うことができる。
ユーザは、シミュレーション結果を元に、事業継続計画(BCP)や既存施設の浸水対策の見直し、重要設備の移設などの施策を講じることができる。
また、マンション、オフィス等の新規分譲の事業においても、適切な浸水対策の状況を可視化して販売促進を図るようなビジネスシーンでの使い方も想定されている。
今後は、デジタルツイン基盤を活用した今回のサービスに加え、応用地質が開発したIoTセンサ(冠水センサ、水位計等)との連動を含めた機能強化を図るとしている。これにより、浸水の事前対策としてのシミュレーションから、ハード対策のコンサルティング、実際の水位上昇を検知した上で防災行動を支援するシステムソリューションの提供までを目指す。
無料メルマガ会員に登録しませんか?
IoTに関する様々な情報を取材し、皆様にお届けいたします。