近年、市販車への実装が進むADAS(Advanced Driver-Assistance Systems)や自動運転システムは、交通事故の防止に寄与することが期待されている。
しかし、走行する自動車が停止するまでの空走距離と制動距離、自動車側からの死角、道路インフラ構造の制約などから、自動車の機能向上のみによる事故防止には限界がある。
そこでソニーグループ株式会社では、「歩行者先進安全支援システム」(Advanced Pedestrian-Assistance Systems、以下APAS)の研究開発に、2019年より取り組んできた。
そして本日、ソニーグループおよびソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社は、交通事故防止へ向けた実証実験を、2024年1月19日から福岡県福岡市で、1月26日から福島県南相馬市でそれぞれ開始することを発表した。
この実証実験は、二段階に分けて実施される。
まず第一段階では、ソニーネットワークコミュニケーションズの見守りサービス「amue link」用の見守りGPS端末をベースにした専用端末を児童に携帯してもらい、専用端末が飛び出しやふらつきなど危険な動きを検知する。
検知された動きを保護者がスマートフォンで確認し、事故に遭いにくい安全な歩き方や振る舞いを児童に指導することで、児童の安全学習に寄与するかを検証する。
第二段階では、第一段階で得られた児童の移動軌跡や歩行時の行動データから、交通事故リスクの高いエリアなどをAIも用いて予測する。この高リスクエリアの情報を学校や地域等に提供し、安全マップの更新など、安全な街づくりに活用できるかを検証する。
ソニーグループは、今回の実験で得られた成果をもとに、APASの研究開発をさらに進め、今後も日本各地での実証実験の可能性を検討していくとしている。
ソニーグループの統括部長である夏目哲氏は、「将来的には、APASと交通インフラおよび自動運転車等が高度に連携した安全な社会の実現を目指しつつ、まずは小学生のお子さまの事故を減らすための研究開発を進めており、今回の実証実験がその実用化への大きな一歩になることを期待している」と述べている。
また、ソニーネットワークコミュニケーションズの事業部長である中村俊之氏も、「amue linkはサービス提供開始より、音声コミュニケーションや、AIを用いた行動履歴など、ソニー独自の機能で個人のお客様よりご評価をいただいている。この度、FSE様・南相馬市様のご協力をいただき実施する実証実験を通して、将来的には個人のお客様だけでなく、自治体様や法人様にもご活用いただけるよう、サービスの更なる強化に努めていく」と述べている。
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