ジオテクノロジーズ株式会社と東京大学および麗澤大学の研究者らは、ジオテクノロジーズが保有する人流データを活用して、街のウォーカビリティを測る指標「街歩きインデックス」を共同開発した。
ジオテクノロジーズの人流データを活用することで、「どの方向に、どのぐらいの速度で」移動したかまで分析することができる。さらに、ユーザに任意で回答してもらう属性アンケートのデータを組み合わせることで、「どんな人が」移動したか観察することが可能だ。
今回開発された「街歩きインデックス」は、歩行者が好んで選択する道順や場所を示し、地図上にスコアで可視化するというものだ。これにより、歩行経路の選択志向を理解しやすくなる。例えば、スコアが高いほど、遠回りにも関わらず選ばれているということを把握することができる。
通常、人々が出発地点から到着地点まで徒歩で移動する際には、最短距離を選ぶことが時間的にも体力的にも効率的だ。しかし、実際には道路の勾配や雰囲気、景色や交通量の問題から最短距離の道以外を通ることが多々ある。
これらのような歩行経路の選択志向を可視化する仕組みとして、一つの歩行移動に対し、目的地への最短経路に-1点を、そして実際に選ばれた歩行経路に+1点を与える。
そして、最短経路を通った場合-1点と+1点が与えられ0点に、最短経路ではないのに選ばれた経路には+1点、最短経路にも拘わらず選ばれなかった経路に-1点とする。
こうして算出したスコアを活用することで、「一定のエリア内で整備を行った場所だけスコアが高い」「整備前後でスコアが向上している」など、整備の効果を示すことが可能だ。
また、整備計画の段階でも、通行者にとって現状の街路がどのように認識されているのか分析するツールとしても利用できる。特に通行者によって忌避されている道やエリアの要因を調査することで、景観の向上や防犯対策のための整備を行うなど、意思決定の指標としても利用可能だ。
なお、「街歩きインデックス」を用いて東京都の浅草・スカイツリー周辺の道路を分析した結果、浅草寺やスカイツリー周辺や隅田川沿いで特にスコアが高いことが明らかになったのだという。
麗澤大学の教授である柴崎亮介氏は、「今回の研究で活用した歩行軌跡データは、非常に高精度で、分析を加えることで歩行者の『街の歩き方』が見えてくる。これは、街の計測において有益な情報となることが分かる。実際に、浅草・スカイツリー周辺をピックアップし、これまでなかった指標で街のウォーカビリティを示すことができた。」と述べている。
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