昨今、直通運転の増加などによる首都圏の鉄道輸送サービスの向上に伴い運行形態が複雑さを増す中で、列車運行を管理する東京総合指令室では指令員の世代交代が加速している。そのため、輸送品質の維持・向上に向け、より効果的な技術継承の仕組みや指令員の判断支援の高度化が求められていた。
東日本旅客鉄道株式会社(以下、JR東日本)と日本電気株式会社は、輸送障害発生時の運行管理部門における情報共有の高度化と判断支援および技術継承の促進を目的として、クラウド・AI技術を活用した業務支援システムを構築し、JR東日本の東京総合指令室を対象に5月25日より稼働を開始する。両社は同システムの構築に向けて、以下の取り組みを実施した。
- 業務ノウハウのデジタル化
- クラウドベースの情報共有基盤の構築
- 判断支援、技術継承支援機能の開発
「NEC the WISE」をはじめとしたAI技術の活用により、業務マニュアルや過去約10年間の輸送障害に関するドキュメントの自然言語分析・デジタル化を推進する。
各種クラウドサービスを活用した情報共有基盤を構築し、輸送障害対応状況の共有・可視化を促進する。情報共有基盤の構築に際して、輸送障害対応における迅速さと正確さの要求をクリアするため、柔軟かつ反復的な仕様検討・変更を可能とするアジャイル型の開発手法を採用した。具体的には、サーバレスのクラウド環境上でプロトタイプ開発を繰り返し、指令員の意見を都度反映・改良することで実践的な機能開発を実現した。
蓄積されたデジタル化データに基づき、輸送障害発生時に過去の類似事象の手配内容や教訓をサジェストする判断支援機能や、平常時に教育コンテンツとして活用するための技術継承支援機能を開発した。
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