大林組、統合EMS構築などにより水素供給ネットワークの効率化を目指す実証運用を開始

株式会社大林組は、福島県双葉郡浪江町で進行中の「既存のインフラを活用した水素供給低コスト化に向けたモデル構築・実証事業」にて、「水素サプライチェーン統合管理システム(以下、統合EMS)」構築などの実証運用を始めると発表した。

浪江町には、2020年4月よりNEDOの助成事業として、太陽光エネルギーによる水素製造プラント「福島水素エネルギー研究フィールド(以下、FH2R)」が立地し、実証稼働している。(トップ画)

大林組は、「水素搬送管理エネルギーマネジメントシステム(以下、EMS)」の構築により、FH2Rで製造された水素を複数の拠点へ効率的に搬送する実証運用を2022年4月から1年間行い、搬送コストとCO2排出量を約2~3割程度低減することに成功している。今回の実証運用は、その延長線上にある。

新たな水素供給ネットワークでは、トヨタ自動車が燃料電池自動車MIRAIで使用している高圧水素貯蔵技術を応用。最高充填圧力70MPaの高圧容器に70MPaまで水素を充填し、トラックで搬送する。

なお、容器は、水素の残量や供給状態の遠隔モニタリングおよび圧力差を利用したカスケード利用が可能だ。

カスケード利用のイメージ

これにより一度に大量の水素を搬送できるほか、古河電気工業株式会社と共同で開発している新工法を用いて水素パイプラインを敷設し、燃料電池への供給も行う。この新工法では、樹脂製の雨水側溝に改良を加え、パイプラインやケーブル用の配管トレンチとして利用することにより、パイプライン敷設工事のコストおよび工期を削減する。

雨水側溝兼用配管トレンチ断面図

さらに、「EMS」と「水素安全性管理システム(以下、SMS)」の2つのシステムによる統合EMSを新たに構築する。

これは、現行のEMSで使用可能な水素搬送容器を増やし、搬送先毎に適切な容器や効率的な搬送ルートを選定することで、搬送時のCO2排出量およびコストの削減を目指すものだ。また、水素搬送の安全性を高めるため、Webカメラによる監視やその画像データからAIが劣化判断をする機能を備えたSMSの開発に取り組む。

統合EMSの構成イメージ

加えて、各施設の燃料電池を電源としたDGR(デジタルグリッドルータ)により、小規模電力網である地域マイクログリッドを構築し、電力利用の効率化を図る。また、各施設の電力の需給状況と、水素の残量状況を合わせて管理することで、さらなる水素供給ネットワークの効率化にもつなげるのだという。

地域マイクログリッドと水素供給ネットワークの連携イメージ

大林組は今後、EMSの高機能化などにより、水素供給ネットワークの環境性・経済性・安全性をさらに向上させ、水素サプライチェーンの拡大と水素利用の普及を推進していくとしている。

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