新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、観光業界では非対面型の音声ガイドに注目が集まっている。一方、従来の音声ガイドはスマートフォンの操作が必要なものや、ガイドしてほしいものが適切に判定されないものが多く、観光への没入感が課題だった。
沖縄セルラーアグリ&マルシェ株式会社、KDDI株式会社、motti西表島トレッキングエコツアー(以下、motti)、竹盛旅館、沖縄県竹富町は、高精度GNSS測位(※)により得られた位置情報と観光客の体の向きから観光客が見ているものを判定し、自動で音声ガイドを行う実証実験を、西表島の大原地区と大富地区にて、2022年4月22日から2022年5月27日まで実施する。
同実証実験は、高精度GNSS測位の活用により、位置情報の誤差を数メートルから数cmまで減らす。高精度GNSS測位用のアンテナが組み込まれたネックスピーカーやカチューシャを装着することで、音声ガイドを体験できる。
また、GNSSコンパスの技術を活用して観光客の体の向きを測定することで、向きに応じて自動で音声ガイドが可能なため、スマートフォンなどでの観光客の操作が不要だ。GNSSコンパスはGNSS測位機器と2つのアンテナを設けることで方位を算出することができる。竹富町のキャラクター「ピカリャ~」のぬいぐるみ・ネックスピーカー・イリオモテヤマネコの猫耳カチューシャに、位置情報と観光客の体の向きを測定する機器が組み込まれており、観光客は3つの中から好きなものを選択する。
星空ガイドツアーでは、琉球歴史専門家の賀数仁然氏と、西表島での自然ガイドツアーの実績があり竹富町観光案内人条例に基づく免許を持つmottiの望月達平氏監修のもと、各観光客の位置と向いている方位に合わせて自動的に対象となる星座に誘導し、音声ガイドを行う。八重山諸島の伝承や歴史、南十字星座について学ぶことができる。体の向きを使って回答するクイズも実施されるという。
一方の大富地区街巡りガイドは、音声ガイドを利用し、西表島の大富地区を歩くことで大富地区の歴史や文化を案内するコンテンツとなっている。
同実証実験における各者の役割は以下の通り。
- 沖縄セルラーアグリ&マルシェ:企画全体のマネジメント
- KDDI:高精度位置情報を活用した音声ガイドシステムの企画、設計、開発
- motti:音声ガイドシステムを活用した星空案内ツアーの催行、コンテンツ内容の監修
- 竹盛旅館:コンテンツ監修、現地での街巡りガイド機器貸出
- 竹富町:コンテンツ内容への助言、観光客へのツアー情報の提供
※ 高精度GNSS測位:衛星を用いた測位システム。また、従来のGNSSは衛星から送信された信号だけを活用していたが、同技術では1.5GHz、1.2GHzなどの搬送波そのものを物差しとして利用し、かつ補正情報を収集してリアルタイムに修正を行うことで、数センチ単位の誤差の位置情報を取得することが可能。
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