スマートファクトリー実現の具体的な導入ステップ
最後に、スマートファクトリーの具体的な導入ステップの詳細について、オフィス エフエイ・コム 代表取締役 飯野 英城氏から話があった。
まずスマートファクトリーが実現する、「最適生産」について説明された。
「最適生産」とは、「つくらないときには作らない、作るときには作る」ことだとし、
- 新製品のスピード市場投入
- マスカスタマイズの実現(量産とカスタマイズを両立できる統合ライン)
- エネルギー、スペース、人員などに関して、国内外の工場リソースを最適化
- 時代の変化に合わせた生産ラインの組み替え
の4つがポイントなのだ、と飯野氏は言う。
Team Cross FAが構築する進化したスマートファクトリー
ここで、具体的に最適生産を行える自動化生産ラインとはどういったものかといった話がされた。
具体的には、上の図のように、最適化されたスマートファクトリーを作るための設計から、シミュレーション、IoTを活用したデジタル化や現場への設置・設定、運用など様々なことを行うことになる。
まず、全体分析、工程・構想設計では、各工程ごとに作業分析を行い、自動化やロボット化の検討を踏まえて工程設計をするという。また、そのプロセスをシミュレーションすることで、検証も行うということだ。
次に、工場内シミュレーションを行う。ここでは、生産順や中間在庫、工程タクト、最適人員のモデルが作られる。
そして、データを収集し、IoT化、見える化を行う。予知保全などにもデータを活用する。
最後に、物流・作業分析として、最新の物流手法や自動倉庫、AGVの活用、デジタルピッキングなど新しいテクノロジーで物流や作業面の見直しも行う。
スマートファクトリー構築時の具体的な課題と解決策
ところで、一般的な自動化生産ラインというと、一本のラインで作業している「人」を「ロボット」に置き換えて自動化する、という考え方が多い。しかし、これだと生産数が増えたり、減ったりした際に、柔軟な対応ができない。
そこで「Team Cross FA」では、量産で生産するものは通常の工程を流れていくが、カスタマイズが必要なものは自動搬送装置が製品を組み立てて欲しいロボットのところに運び、組み立ててもらうという、「ロボット型デジタルジョブショップ」という考え方を打ち出している。
ロボット型デジタルジョブショップで作られたラインでは、各ロボットはシンプルに設計されていて、難しい工程はあえて作らない。ものを組み立てるものは組み立てるだけ、ネジを締めるものは締めるだけというロボットで生産ラインを構成するのだ。
そして、それぞれのジョブショップ間で、AGVが中間生産物を運ぶことによって、例えば、ある工程が混雑していた場合に他の工程を先にすませたり、最終生産物によってはラインの組み替えなしに、使うべき工程を指定するだけで柔軟なラインを組む、といったことも可能となるのだ。
その結果、生産量が増えたり減ったりした際にも、自由に組み替えが行えるラインが実現できる。
また、今後の予定として、今年の秋頃にスマートファクトリーコンダクターラボが栃木県小山市にロボット型デジタルジョブショップのリアル版を展示する予定だということだ。
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IoTNEWS代表
1973年生まれ。株式会社アールジーン代表取締役。
フジテレビ Live News α コメンテーター。J-WAVE TOKYO MORNING RADIO 記事解説。など。
大阪大学でニューロコンピューティングを学び、アクセンチュアなどのグローバルコンサルティングファームより現職。
著書に、「2時間でわかる図解IoTビジネス入門(あさ出版)」「顧客ともっとつながる(日経BP)」、YouTubeチャンネルに「小泉耕二の未来大学」がある。