運輸事業者や交通利用者から考えるMaaSやライドシェアの未来 -一般社団法人 運輸デジタルビジネス協議会 代表理事 小島薫氏
一般社団法人 運輸デジタルビジネス協議会とは
現在、ウィングアーク1st株式会社(以下、ウィングアーク)と株式会社フジタクシー(以下、フジタクシー)は、データをビジネスで活用し、効率化、事故削減などに取り組んでいる。
その事業をきっかけとして、タクシー事業者の90%以上は中小零細もしくは個人事業主であり、スピーディな法令対応や外部環境変化対応が難しいという実態を解決する手段が必要ではないかと議論が始まった。そこで、事業者全体で取り組みたい課題として、ウィングアークが主体となりコンソーシアムという形をとり立ち上げられたのが、運輸デジタルビジネス協議会(以下、TDBC)だ。
当初32社から始まった当協議会は、運輸業界とICTなど多様な業種のサポート企業が多く参画し、現在では会員数96社となり活発に活動を行っている。
運輸業界が抱える課題は数多くあり、その課題を解決するためにワーキンググループを複数組むことで、解決手段を模索する形をとっている。2017年度には、7つのグループが活動報告を行ったそうだ。本来であれば、こういった課題を解決するには1社ごとに個別の要件を摺り合わせて、要件をもとにシステム開発をおこなう課題解決方法をとっているのが一般的だ。しかし、TDBCでは同じような課題を持つ複数社と、課題解決のための技術を持つ複数のサポート企業が、運輸事業者の課題をともに解決するための取り組みを行っている。
課題解決のためのアプローチ
実際に課題解決のために、実証実験にチャレンジできるのがTDBCの強みだ。小規模な企業で、それも実験のための費用、環境、技術といった準備を単独でおこなうことはハードルが高い。しかし、複数企業が参画するこの協議会ではそのハードルがぐっと下がる。プロトタイプの構築、実験、さらに精度向上のためのモニター募集といったところまで、ともに課題を解決することを目的としたグループであるからこその強みだといえる。
公共交通の課題
小島氏は、目的のために誰でもが自由に、便利に利用できる持続可能な移動サービスの提供がとても重要である、特に、最も重要視すべきなのが「持続可能である」という部分だと強調した。
最後にフジタクシーとのUber Japan 株式会社(以下、Uber)との提携についての紹介があった。Uberと提携したフジタクシーの配車割合は、全体の3割を占めたという。この提携についてのフジタクシーとUber対談は2019年4月26日に開催されるTDBCフォーラムにて行われている。
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