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CES2017に変化。GoogleやAmazonがスマートホームのエージェントに、NVIDIA, HUAWEIなどとの提携が加速 CES2017レポート1

CES2017 NVIDIA, HUAWEI

2017年1月5日よりスタートした、世界最大の家電ショーCES2017。NVIDIA、HUAWEIの2社が行ったキーノートスピーチでは、単なる製品の発表だけでなく、クラウドと連携したIoTを意識したサービスが発表されていた。

そして、その2社の発表の特徴として、GoogleやAmazonとの提携関係があげられる。

そもそも、この2社は、Google HomeやNest、Amazon Echoを発表していて、ハードウエアという側面では競合するような関係でもあるといえるが、どちらもエージェントサービスを提供していて、他社との協力関係も進めている。

NVIDIA

NVIDIAといえば、高速処理ができるコンピュータGPUの製造や、3Dゲームを楽しむためのグラフィックボードを製造しているメーカーだという印象の人も多いかもしれないが、昨年のCESでも自動運転のための処理を行えるデモを行っており、IoTではエッジ側の高速処理に存在感を出している企業だ。

NVIDIA SHIELD(Google Assistant for TV)

まず、NVIDAの社長でCEOのジェンスン・ファンは、Google Assistantと連携した新しいスマートテレビと、スマートホームをコントロールするハブとなるデバイスを発表した。

これは、テレビがGoogleアシスタントと連携していると理解すればよい。テレビに向かって、

“OK Google!”

と話しかけると、テレビのチャンネルを変えたり、好きなコンテンツを見たりすることができるのだ。もちろん、スマートホームのソリューションなので、サーモスタットやセキュリティカメラなど多くのスマートホームのデバイスとも連携可能だ。

NVIDIA SPOT

SPOTの方は、家の各所に配置することができるマイク兼スピーカーで、Google Assistantによるエージェントサービスが付いている。

スマートホームの多くの機器に対応しており、こちらはAmazon EchoやEcho dotの対抗馬となるのだろう。サイズも手のひらサイズで形も丸くてかわいらしい。

こちらもサムソンを中心としたアライアンスである、SMART Thingsや、SPOT対応機器とNVIDIA HOME AIの連携が可能となる。

自動運転カーは実用のレベルへ

冒頭、昨年のCESのデモ展示について触れたが、2016年は多くの企業が自動運転カーの可能性について模索した年と言える。そんな中でもNVIDIAは、その処理技術によりついに、アウディ社と提携し2020年をめどに自動運転カーの実用化に向けて動き出したというのだ。

また、AIを搭載したクルマ用のスーパーコンピュータを開発しており、その中で、オートパイロット(自動運転)や、CO-PILOT(ドライバー向けアシストサービス)、NLU(自然言語対話)の対応を行う。

手に持っているのが、AIを搭載したコンピュータ

その上で、必要なマップ処理は提携するクラウドサービスとなる、Baidu(中国)、TomTom(ヨーロッパ)、ZENRIN(日本)、here(ドイツ)と提携し、AIクラウドサービスとも連携していくというコンセプトなのだ。

これまで、TESLA(テスラ)や、Googleが自動運転の分野では目立っていたが、日産やトヨタも含め、多くのグローバル企業がこの分野をリードしていくという動きは待った無しな状態だ。

続いて、HUAWEIの考える未来について

Huawei Mate9 Series

また、HuaweiのカスタマービジネスグループのCEOである、Richard Yuは、Huaweiの最新機種と未来について述べた。

最近世界的に売れているスマートフォン、HuaweiのMate9シリーズだが、国内でも売り切れ店続出で、メディアの評価も高い。

このシリーズも、Mate9 Proシリーズでは、Googleのバーチャルリアリティサービスである、Google Day Dreamと連携しており、Tangoと呼ばれるAR技術にも対応している。

Day Dreamの方はいわゆるVRなのでわかると思うが、Tangoの方は特別な機器にしか対応していないため馴染みが薄いかもしれない。

使い方としては、例えば部屋にバーチャル家具を置いてみて、家具を置くと部屋がどうなるかをシミュレートしたりすることができるAR技術を実現するためのサービスだ。

また、Mate9では今年中にAlexa対応が完了するということだ。こちらはお馴染みかもしれないが、Amazon Echoの機能がスマートフォンに搭載されているイメージをもってもらえばよい。もともと、Siriなどで実現できているじゃないかと思うかもしれないが、Amazon Echoに対応した数百にものぼる「スキル」を利用できるという点は大きい。

スキルというのは、アマゾン社がAlexaのために地道に開拓した多くのサービス群との提携モジュールで、実際には声をかければ対応する照明が点灯したり、UBERを呼んだり、本を買ったりすることができるという利便性がすでに実装されているのだ。

Huaweiの考えるIoTの未来

リチャード・ユーは、壇上、90年代の「情報革命」が起きた中、今まさに、「知の革命」が起きているのだと述べた。

「知の革命」とは、AIをつかったナチュラルな世界のために、「フィジカルな世界」と「デジタルな世界」をAIで移行していくという流れがあるというのだという。

インテリジェントなインタラクションを、AIをベースにしたたくさんの機器でつながっていく「IoTを基礎としたコネクティビティの変化」がおきる結果、デジタルワールドとフィジカルワールドがつながっていく、そして、クラウドは意思決定に使われることになると述べた。

そこで、Huaweiとしては、チップセット(KIRIN CHIPSET)の開発を始めていて、様々な産業を通じて革命を起こしていきたいという考えを述べた。

IoT時代に入り、得意な領域は自社が担当するものの、不得意な分野は提携するという動きがここにきて一気に加速し出しているという印象が色濃くあるキーノートスピーチであった。昨年までのコンセプトモデルを脱却して、IoTを通して強者連合がどんどん進んできているといえるだろう。

そして、機械学習などを取り込んだ、「スマートな」サービスも続々出現しており、コンシューマ向けIoTの可能性を強く感じた。

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