最後に八子氏は、「全ての企業、政府がデジタル化する時に来ている。さもなくば10年後までに今の企業の40%が姿を消すだろう」という、シスコの元CEOであるジョン・チェンバース氏の言葉を引用。参加者にデジタライゼーションの重要性を再度呼びかけた。
また八子氏は、「最近では、人間の処理能力を超えようとしているデジタル技術も出てきている。そのような場合、本当にそのまま進んでよいのだろうか。私たちは今一度、アナログの重要性と人間の能力の限界も意識しなければならない。すべてがデジタルに向かう中で、大切なのはヒトであるということを忘れてはいけない」とも語り、講演を締めくくった。
IoTの本質は、”汎用技術の組み合わせ”でできること
続いて、シーメンスの島田太郎氏が登壇。島田氏には、インダストリー4.0の中心にいるシーメンスがどのような戦略で事業を進めているのか、また島田氏自身が約10年間、航空機の設計に携わっていた経験も絡めながら、企業がIoTやAIを効果的に活用していくために大切なことなど、幅広い視点で語っていただいた。
まず島田氏は、日本企業の課題として「生産性が低い」ことを指摘。シーメンスの調査(各国の時間あたり購買力平価GDPを計算)によると、「先進国の中で、一円を儲けるのに最も時間をかけているのが日本」(島田氏)だという。
そのためには、従来よりも「市場へより早く・顧客の好みに合わせた製品を・コストミニマムで提供する」ことが重要であり、これはインダストリー4.0の背景でもあると島田氏は説明した。
中でも重要なのは、「コストミニマム」であり、「コストを最低限に抑えるためには、汎用的なモジュールの組み合わせをうまく使うことが大事だ」と島田氏は述べた。
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技術・科学系ライター。修士(応用化学)。石油メーカー勤務を経て、2017年よりライターとして活動。科学雑誌などにも寄稿している。