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IIJと台湾kiwitec、LoRaWANソリューション展開において協業を発表

IIJと台湾kiwitec、LoRaWANソリューション展開において協業を発表

2019年9月19日、インターネットイニシアティブ(以下IIJ)と台湾のkiwi Technology Inc.(以下kiwitec)は、LoRaWANソリューションにおいて協業することを発表した。

ネットワークサーバを組み込んだLoRaWANゲートウェイを提供

kiwitecはLoRaWAN(免許が不要な周波数帯域を利用した、低消費電力・長距離通信を特徴とする無線通信技術)に対応したゲートウェイやモジュール、センサーデバイスなどを開発・販売する台湾のIoTソリューションプロバイダである。2017年にIIJが開始した農業IoTプロジェクトの取り組みで、kiwitecはLoRaWAN技術に関する協力を行っている。

今回の協業はkiwitec製LoRaWANゲートウェイおよびセンサーデバイスをIIJにて販売し、センサーから収集したデータを蓄積するクラウドプラットフォームとしてIIJIoTサービスと連携させる、というものだ。

IIJ・IoTビジネス事業部副事業部長兼プロダクト本部製品開発部長の齋藤透氏(トップ画像右)によれば、今回の協業で提供するLoRaWANゲートウェイには2つの特徴があるという。

1つはビルトインサーバ機能。LoRaWANを利用するには、センサーやゲートウェイなどの端末管理および通信の暗号化・複号化を行うためのネットワークサーバが必要になるが、これをクラウド上ではなく、LoRaWANゲートウェイ機器そのものに実装し、ネットワークサーバ機能を組み込むのだという。これには運用負荷や構築費用を軽減する狙いがあるそうだ。

ネットワークサーバをLoRaWANゲートウェイの中に組み込む

もう1つはSACM(Service Adaptor Control Manager)機能。これはIIJが開発するネットワーク機器の集中管理サービスのこと。

LoRaWANゲートウェイは屋外の高所に設置される場合が多く、エンジニアによるメンテナンスが困難なケースも多々ある。SACM機能はそうした場合にも対応するために、ゲートウェイの設定の自動化やファームウェア更新などを遠隔から管理できるようにするという。

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水田・飲食店・ビルなどでの活用を想定

今回のLoRaWANソリューションについて、IIJ・齋藤氏は3つの想定利用例を挙げた。1つはスマート農業。これについてはIIJが既に2017年から静岡県にて実証実験を行っている。

IIJが取り組んだスマート農業の実証実験

この実証実験では水田センサーと自動給水弁を開発し、kiwitecの開発したLoRaWANゲートウェイを介してセンサーデータをクラウドと送受信させ、自動給水弁の制御も行ったそうだ。

2つ目は飲食店やスーパーマーケットでの利用。2020年6月からHACCP(Hazard Analysis Critical Control Point。食品の衛生管理手順を可視化し、大規模に管理する方法のこと)が義務化され、特に飲食店やスーパーマーケットなどでは温度管理が必要とされる。そこで大型店舗内での複数の温度センサーを利用した大規模な管理に、LoRaWANゲートウェイが活用されることを見込んでいるという。

IIJ・齋藤氏は「店舗だけではなく、例えば冷蔵冷凍車のような食品流通の場面でも利用が想定される」と述べる。金属に覆われているコンテナを持つ冷凍車では、コンテナに温度センサーを設置しても、Wi-FiやBluetoothを利用した通信ではデータの送受信が困難だった。
これにLoRaWANを使うことで、従来通信が難しいと思われた金属コンテナ内でもセンシングすることが出来るようになるという。

3つ目はスマートビルディング。少数のゲートウェイでビル1棟全体のセンサーをカバーし、多数の会議室・トイレの可視化を行うようになるという。

kiwitec・代表取締役社長のピーター・リン氏

kiwitec・代表取締役社長のピーター・リン氏は、店舗でのLoRaWANゲートウェイ活用について「これまでの店舗におけるセンシングではWi-Fiの利用や、それぞれのセンサーにSIMカードを付けて発信するという方法などを取ってきたが、それではコストパフォーマンスが悪い。LoRaWANゲートウェイなら1台で店舗内の複数のセンサーに対応できる。」と付け加えた。

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