水田・飲食店・ビルなどでの活用を想定
今回のLoRaWANソリューションについて、IIJ・齋藤氏は3つの想定利用例を挙げた。1つはスマート農業。これについてはIIJが既に2017年から静岡県にて実証実験を行っている。

この実証実験では水田センサーと自動給水弁を開発し、kiwitecの開発したLoRaWANゲートウェイを介してセンサーデータをクラウドと送受信させ、自動給水弁の制御も行ったそうだ。
2つ目は飲食店やスーパーマーケットでの利用。2020年6月からHACCP(Hazard Analysis Critical Control Point。食品の衛生管理手順を可視化し、大規模に管理する方法のこと)が義務化され、特に飲食店やスーパーマーケットなどでは温度管理が必要とされる。そこで大型店舗内での複数の温度センサーを利用した大規模な管理に、LoRaWANゲートウェイが活用されることを見込んでいるという。
IIJ・齋藤氏は「店舗だけではなく、例えば冷蔵冷凍車のような食品流通の場面でも利用が想定される」と述べる。金属に覆われているコンテナを持つ冷凍車では、コンテナに温度センサーを設置しても、Wi-FiやBluetoothを利用した通信ではデータの送受信が困難だった。
これにLoRaWANを使うことで、従来通信が難しいと思われた金属コンテナ内でもセンシングすることが出来るようになるという。
3つ目はスマートビルディング。少数のゲートウェイでビル1棟全体のセンサーをカバーし、多数の会議室・トイレの可視化を行うようになるという。

kiwitec・代表取締役社長のピーター・リン氏は、店舗でのLoRaWANゲートウェイ活用について「これまでの店舗におけるセンシングではWi-Fiの利用や、それぞれのセンサーにSIMカードを付けて発信するという方法などを取ってきたが、それではコストパフォーマンスが悪い。LoRaWANゲートウェイなら1台で店舗内の複数のセンサーに対応できる。」と付け加えた。
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1986年千葉県生まれ。出版関連会社勤務の後、フリーランスのライターを経て「IoTNEWS」編集部所属。現在、デジタルをビジネスに取り込むことで生まれる価値について研究中。IoTに関する様々な情報を取材し、皆様にお届けいたします。