ファーウェイは、同社のAI戦略、あらゆるシナリオに対応するAI対応IPコアならびにチップセットシリーズ「Ascend」と、「Ascend」の性能を活かして開発した新製品やクラウドサービスからなるAIポートフォリオを発表した。
ファーウェイは、2025年までに世界のパーソナルなスマート端末が400億台を超え、端末利用者の90%がスマートデジタルアシスタントを活用するようになると予測している。また、データ利用率は86%に達し、AIサービスはどこでもすぐに利用可能なものとなると予測し、同社はAI戦略を加速させる。
今回発表された同社のAI戦略においての5つの重点分野は以下の通り。
- AI研究への投資
コンピュータービジョン、自然言語処理、意思決定・推論などの領域における機械学習に求められる基礎能力のさらなる開発を進める。特に機械学習に関しては以下の点を重視。
・データ効率と電力効率(より少ないデータ、コンピューティング、電力で AI 活用を推進)
・安全性と信頼性
・自動化・自律型 - フルスタックのAIポートフォリオの構築
・豊富なコンピューティングリソースの手頃な価格での提供
・フルパイプラインサービスを備えた、効率的で使い勝手の良いAIプラットフォームの提供
・あらゆるシナリオに適応する AI ポートフォリオの構築(クラウド、エッジ、デバイスの協調型とスタンドアロン型の双方) - オープンなエコシステムと人材の育成
世界中の学術機関、産業、パートナーとの幅広い連携。 - 既存ポートフォリオの強化
AIのマインドセットと手法を既存の製品やソリューションに導入し、より多くの顧客価値を創出することで競争力を強化。 - ファーウェイ社内における業務効率改善
AIを膨大な定型業務に応用することで効率性と品質を向上。
ファーウェイは、同社のフルスタックのAIポートフォリオの一つとしてAI対応IPコアおよびチップセットシリーズ「Ascend」を発表した。あらゆるシナリオでサービスを提供し、1ワットあたりの最適テラOPS(Operation Per Second)を実現する「Ascend」シリーズは、データセンター内で限られた消費電力が求められる場合も、最大のコンピューティングリソースが求められる場合も、あらゆるシナリオにおいて卓越した1ワット当たりのパフォーマンスを発揮する。
また、一元的なアーキテクチャにより、さまざまなシナリオでAIアプリケーションの展開、移行、相互接続を容易にするという。「Ascend 910」と「Ascend 310」は、チップレベルで実現。こうしたチップにより、あらゆる産業におけるAIの導入に貢献するという。
また、「Ascend」シリーズのチップに加えて、ファーウェイはフルスタックのAIポートフォリオとして以下を提供する。
- ニューラルネットワーク向けコンピュートアーキテクチャー「CANN (Compute Architecture for Neural Networks)」
チップオペレーターライブラリと高度に自動化されたオペレーター開発ツールキット - MindSpore
デバイス、エッジ、クラウド(スタンドアロン型と協調型)を包含する一元的なトレーニングと推論フレームワーク - アプリケーションイネーブルメント
フルパイプラインサービス(ModelArts)、階層型 API、事前統合ソリューション
「フルスタック」とは、ファーウェイのテクノロジーの機能性を示している。ファーウェイのフルスタックのポートフォリオには、チップ、チップイネーブルメント、トレーニングおよび推論フレームワーク、アプリケーションイネーブルメントが含まれる。
「あらゆるシナリオ」とは、パブリッククラウド、プライベートクラウド、あらゆる形態でのエッジコンピューティング、産業IoTデバイス、コンシューマーデバイスなど、AIのさまざまな展開シナリオを示している。
ファーウェイは、インクルーシブなAIを提供することは、今回発表したAI戦略とあらゆるシナリオに対応するフルスタックのAIポートフォリオを開発するにあたって、重要なゴールの1つとしている。
ファーウェイは2017年9月に企業と政府機関向けの「ファーウェイ・クラウド EI」とAIサービスプラットフォーム「Atlas」を、2018年4月にスマートデバイス向けのAIエンジン「HiAI」を発表した。ファーウェイのあらゆるシナリオに対応するフルスタックのAIポートフォリオは、「ファーウェイ・クラウド EI」と「HiAI」に対して強力なサポートを提供できるよう設計されており、同時に両サービスはファーウェイのAIポートフォリオを活かし、フルスタックのサービスポートフォリオを提供できるようになるという。
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